行政書士は経理を怠るな

この章ではこれまで、行政書士の営業をテーマとして、その具体的な手法を1つずつ紹介してきました。

ここで、最後に紹介するのが『モチベーション』です。

「何だ、精神論かよ」と思われるかもしれませんが、実は、目標達成に一番必要なものは、『モチベーション』だと思います。

モチベーションとは

さて、サッカー選手として現役最年長を走り続けるキングカズや、プロ野球選手として現役最年長で引退した山本昌さんの、『現役を続ける秘訣』を聞いたことがありますか?

それこそが、『モチベーション』です。

スポーツ選手が引退を決意するのは、『体力や技術の衰えそのもの』ではないそうです。

その時に、『心が折れないか』、『まだ続けたいというモチベーションを持てるか』ということが、現役を続けられる理由だそうです。

 

皆さんも、行政書士を開業されたということは、行政書士試験を経験されたということですよね。

つまり、皆さんは、『モチベーションがある時』と『モチベーションがない時』の、試験勉強のはかどり方をご存じではないですか?

『模試の後』であったり、行政書士に限らず『友人と近況を語らった後』であったり、「よし、がんばろう!」と思った瞬間をお持ちだと思います。

この『モチベーション』こそが、あなたの『がんばる源』です。

上げるコツ

さて、プロフィールで書いたとおり、私は、青春時代にバンドを組んでいました。

そこで、どのような時に、一番『ギターの練習をしよう!』と思ったかというと、それは、『刺激を受けた時』です。

家で一人でモンモンと練習をしていれば、知らず知らずの内にモチベーションは下がってきますが、ギターがうまい友達と会った後や、バンドメンバーと「がんばるぞ」と語り合った後は、自然と練習熱が上がります。

 

行政書士で開業した時も同じで、「事業が軌道に乗らなくてどうしようかなぁ…」と思っている時でも、同期(でありライバルでもある)の行政書士と語り合った後は、「がんばらなきゃ!」とモチベーションが上がってきました。

このような経験は、皆様にもあると思います。

なので、「モチベーションを上げるためには、同志と語り合え!」…と言いたいところですが、ちょっとお待ちを。

なぜかと言うと、語り合うということは、大人ですから、『それなりの交際費』も、『それなりの時間』もかかるのです。

モチベーションは大切なものですが、最終的に手にしたい『成功(売上げ金)』ではありません。

つまり、仕事そっちのけで、モチベーションばかりを上げてもいられません。

 

そこで、「どうせやらなきゃいけないことであり、しかも、モチベーションが上がることがないかなぁ」と思っていたら、ありました!

それが、自分の事務所の『毎月の経理』です!

 

とはいえ、開業間もない行政書士の方は、あるかないかわからない売り上げのために、毎月、律儀に経理を行うことに意味を見出せないかもしれません。

かくいう私も、開業1、2年は経営が悲惨だったので、お気持ちはわかります。

ただし、それを怠ると、何のメリハリもなく、時間ばかりが過ぎ去っていくものです。

 

営業しているということは、仮に『売上がゼロ』でも、『支出がゼロ』ということはありません。

毎月、必ず『書くこと』があります。そして、お金は、ビジネスの『結果』です。

『今月は事業の儲けで生活が潤った』とか、逆に、『仕事がまったくなかった』とか、何でもよいので、毎月、必ず、『お金』と向き合いましょう。

お金と向き合えば、気づくことがたくさんあります。

『結果が出ない営業方法を、何か月もトライしてしまっている』と目が覚めることもあります。

そんなとき、「このままじゃいかん!」とモチベーションが上がるものだと思いますし、そこでモチベーションが上がらないようでしたら、『引退』ではないでしょうか。

経理をやらない理由

行政書士で開業されている皆さんは、日頃の経理をどうしているのでしょう?

毎年、3月になると、「確定申告の締め切りが…」と、1年分溜め込んだ経理に焦っている話を耳にします。

かくいう私も、開業1・2年目は、確定申告をそんな感じで済ませました。

あの頃は仕事も少なかったので、今思えば、「暇だったのに、なぜ少しずつやらなかったのだろう」と思うのですが、ただ、その時はその時で、れっきとした言い訳がありました。

「仕事がないからこそ、経理よりも営業に時間をかけなくては!」という理由です。

 

ただし、開業後数年が経ち、今思うことは、『経理は毎月きちんとやった方がよい』ということです。

その理由の1つは、前述のとおり『モチベーション』ですが、理由は、もうひとつあります。

それは、『実際、仕事が増えたら困るから』です。

当たり前ですが、行政書士として営業している以上、『仕事がたくさん入ってくること』を目指しています。

それが叶って、もし、急に仕事がどんどん舞い込んできたらどうしますか?

3月の確定申告の時期は地獄です!

経理を怠らないということは、「仕事をたくさん受けるぞ!」という『心の準備』であり、実際の『時間の準備』でもあります。

 

過去の自分にも言いたいところですが、『仕事が取れない時期の1日の営業努力』なんてたかが知れています。

営業日を1日潰してでも、月に1回は、経理をして現実と向き合いましょう。

そして、それを『明日からのモチベーション』につなげてください!

img

もっと上がるテクニック

経理は、毎月『数字とにらめっこ』をすればモチベーションが上がるものですが、さらにモチベーションを上げるテクニックをお教えします。

それは、『現金を見る』ということです。

 

そのためには、事業として当然ではありますが、『プライベート』と『事業』の財布をきちんと分けましょう。

個人事業だと、きちんと財布を分けていなくても、『事業主貸、事業主借』などの勘定科目で、帳簿上のつじつまは合わせられるところがありますが、私は、これをきちんとした頃から、事業主として身が引き締まった感じがしました。

例えばですが、私は、このブログでも書いてきたとおり、開業当初は肉体労働のアルバイトをしていました。

行政書士での稼ぎがないので、バイトの稼ぎを事業につぎ込むことになるのですが、実際に、『バイトのお金』を『事業用の財布』に、現金として入れる瞬間に「なんか違う!」と違和感を感じたのです。

現金を見ると、『充実感』も『危機感』も、ダイレクトに感じます。

 

また、収入が上がってきたら、翌年支払う『所得税』や『住民税』も毎月貯めておくようにしましょう。

その他、『行政書士の損害賠償保険』など、一括で支払う経費も月割し、毎月の痛みを数字で確認しましょう。

『お金』を管理することは、経営者としての自覚を高めてくれますよ。

img

前後のトピック

次章