建設業許可のポイント

福岡で一般建設業許可を取得するためのポイントについて解説します。

許可取得の3つのポイント

①経営業務の管理責任者

建設業許可を取るには、経営業務の管理責任者(『経営管理者』、『経管』などと略します。)という人を1名立てなければなりません。

では、経営管理者になるために何が必要かというと、簡単に言えば、『建設業の経営経験』が必要です。

必要な経験年数については、『これまでの経験』と『これから取得したい許可業種』が同じか別かによって異なり、同業種なら5年、異業種なら6年が必要です。

ここで、行政書士でも間違って解説なさっている方を見かけますが、決して『1業種なら5年、2業種以上なら6年』ではありません。

例えば、2000年~2005年まで、『内装』と『板金』の経営経験がある場合、取得したい業種が『内装』と『板金』であれば、同業種なので5年でOKです。

異業種6年とは、例えば、『内装』のみの経営経験で『内装』と『板金』を取得したいというような話です。(結果的に、こういうケースが多いので、『2業種以上なら6年』という理解もあがなち間違いではないのですが。)

 

また、『建設業を経営してきたかどうか』については、個人事業の場合は『事業主』として働いてきた期間、法人の場合は『取締役』として登記されてきた期間をカウントします。

なお、原則としては上記のとおりですが、その他にも『経営を補佐してきた』という方も、経営管理者になれる余地がございます。

補佐とは、青色専従者のような立場の方です(その場合、必要な経験年数が異なります)。

 

さて、経営管理者を立てるとは、上記の経管要件を満たす人を御社に常勤勤務させることです。

また、社長が経管要件を満たさない場合は、満たす人を取締役として登記しましょう。

個人事業の場合、事業主が経管要件を満たさない場合は、満たす人を登記支配人として登記しましょう。

経管

②専任技術者

次に、建設業許可を取るには、専任技術者(『専技』などと略します。)という人も立てなければなりません。

ちなみに、上記の経営管理者と専任技術者は、一人で両方を務めることができます。

専任技術者になるためには、簡単に言うと、『資格』または『10年の実務経験』が必要です。

なお、関連学科による高校・大学の卒業歴があれば、必要な実務経験が短くて済みます。

逆に、資格によっては、資格だけでは足りずに『数年の実務経験も要する』という資格もあります。

 

実務経験のカウントで重要なのは『常勤として働いてきた期間』です。

例えば、A会社での実務経験をカウントしたい場合、A会社に常勤していたことが年金記録等で確認できなければなりません。

また、『専任の期間』としてカウントしますので、1人の10年間の経験でカウントできるのは1業種のみです。

例えば、あなたが2000年~2010年まで、『とび』と『塗装』の工事をしていたとしても、カウントできるのは、『とび』か『塗装』のどちらか一方です。

『とび』か『塗装』を、実務経験で取得するには2020年までの経験が必要となります。

なお、2000年~2010年まで、『とび』と『塗装』をあなたと従業員Bさんで行ってきた場合、同じ10年間について、あなたが『とび』、Bさんが『塗装』というようにカウントすることは可能です。

常勤性

③資金調達能力

福岡県の建設業許可申請では、原則、500万円以上の残高証明書が必要です。

残高証明書の有効期限は証明日から1ヶ月以内ですので、ご注意ください。

 

また、残高証明書をわざわざ取得しなくてもいい場合もあります。

直近の財務諸表において純資産の額が500万円以上あれば、そもそも500万円以上の資金調達能力があるとみなされるので、残高証明書は不要です。

(新設法人の場合、資本金が500万円以上あれば、通常、純資産の額も500万円以上ということになってきます。)

なお、『直近の財務諸表』ということは、今年度中(1年間)は500万円以上の資金調達能力があるとみなしてもらえます。

 

ちなみに、『建設業者として5年間の営業実績がある』ということも、この要件を満たすものとみなされます。

つまり、5年後の許可の更新においては残高証明書等は不要です。

資金

その他のポイント

定款の目的

定款(および法人登記簿)の目的には、建設業を営む旨の記載がなければなりません。

この記載について、福岡県の審査では、厳密な文言の決まりはありません。

『工事の請負』というようなことが読み取れれば、おおむね大丈夫だと思われますが、個別のケースについては、その都度、福岡県建築指導課へ確認するのが確実でしょう。

営業所の形態・形状

営業所は、使用権限として、『建設業の事務所』として使える場所でなければなりません。

賃貸物件の場合、『事業目的の契約』であることが必要であり、『住居目的の契約』ではNGです。

では、自己所有の建物ならば問題はないかというと、必ずしもそうではありません。

マンションの場合、マンションの規定により事業使用が認められていない場合もあるので、原則として、マンション管理組合から事業使用を認められていることを示す書面が必要になります。

 

次に注意すべきは、その建物が『住居も兼ねている』という場合です。

この場合、形状(間取り)が問題となります。

住居を兼ねている場合、住居と事務所部分は明確に区分されていなければなりません。

具体的には、リビングやキッチンを通らなければ事務所スペースにたどりつけないような間取りではNGです。

資金

そもそもの欠格要件

該当しないのが普通なので、許可取得のポイントにはなかなかあがってきませんが、実は、重大な『欠格要件』というものがあります。

つまり、そもそものところ、次のような方は建設業の許可を取得できないことになっています。

  • 暴力団の構成員
  • 成年被後見人または被保佐人
  • 破産者で復権を得ない者
  • 建設業違反の処分後5年が経たない者
  • 建設業違反の処分逃れを図った者
  • 禁固以上の刑法5年を経過しない者

では、許可申請において、一体誰がこのような要件に該当してはいけないのでしょうか。

それは、いわゆる『経営陣』です。

法人ならば役員(取締役等)であり、個人事業ならば事業主や登記支配人です。

経営陣において1人でも該当すればアウトなのでご確認ください。

逆に言うと、一般従業員については、欠格要件に該当するか否かは問われないことになります。

例えば、建設業許可において専任技術者は一般従業員でもなり得ます。

つまり、専任技術者については欠格要件は不問ということになります。

 

なお、『破産したことがある=欠格』ではありません。

破産者であっても、免責決定がお済の方(復権を得ている方)は、建設業許可を取得できます。

 

建設業許可へ戻る