放課後等デイサービス(以下、「放デイ」と言います。)の指定を受けるためには基準があります。
主なポイントを下記に記載します。
申請主体
法人でなければ、放デイの事業を行えません。
世の中の事業の形態(経営主体)には、『個人事業』と『法人』の2つがありますが、放デイ事業を行うためには、『個人事業』という形態では指定を受けられないことになっています。
法人とは株式会社、合同会社、NPO法人、一般社団法人などのことであり、放デイ事業を行うためにはどの法人を選んでも構いません。
なお、法人には『事業の目的』というものを定めなければなりません。
これは、法人の登記事項や定款に記載されるもので、『定款の目的』と呼ばれることもあります。
放デイを行う法人では、定款の目的に『児童福祉法に基づく障害児通所支援事業』という文言を入れておかなければなりません。
建物の基準
放デイの指定を受けるためには建物に下記の設備を設置しなければなりません。
- 指導訓練室
- 事務室
- 相談室
- トイレ
また、必須ではありませんが、『静養室』の設置も推奨されています。
ここで、各部屋を学校に例えると、指導訓練は『教室』、事務室は『職員室』、相談室は『応接室』、静養室は『保健室』のようなイメージです。
こう考えると、『静養室』は必須でないといえど、設置しないということは『保健室がない』というようなことです。
『体調が悪い子がいるのときはどうするの?』と考えると、『まったく設置しない』というのは利用者の立場(子どもを預ける保護者の立場)からすると、望まれるものではないと思われます。
なお、上記の設備の中で、指導訓練室のみ、広さの基準があります。
広さの基準は、申請自治体(都道府県や市町村)によって異なりますので、指定を受ける場合は、申請自治体に確認しましょう。
ちなみに、福岡県での基準は『利用者1人につき2.47㎡以上』となっています。
放デイの一般的な利用定員は10名なので、事業所としては『24.7㎡以上』の指導訓練室が必要ということになります。
そもそもの適法性
ここで、一番見落とされがちなものですが、放デイの指定基準という以前に、そもそも『その建物や開業場所が適法な状態なのか』という問題があります。
下記のポイントは、放デイの指定申請でも適法性が問われ、違法な状態であれば指定を受けることができません。
各ポイントの詳細は、リンク先をご確認ください。
- 都市計画(市街化調整区域)
- 建築基準法(福岡県福祉まちづくり条例)
- 消防法
指定申請の協議事項
人員基準
放デイの指定を受けるためには、下記の人員を配置しなければなりません。
なお、下記の配置は利用定員10名を想定した基準となっております。
- 管理者(常勤1名)
- 児童発達支援管理責任者(常勤1名)
- 児童指導員等(常勤1名+常勤換算1名)
ここで、兼務について解説すると、管理者は『業務支障がない限り兼務が可能』となっております。
これは、簡単に言うと、常勤の管理者1名がいれば、その管理者は『児童発達支援管理責任者(以下、「児発管」と言います。)の常勤1名』または『児童指導員等の常勤1名』も同時に満たすことができるということです。
※もちろん、児発管や児童指導員になる資格があればですが。
さて、常勤というのは、事業所の就業規則で定められた常勤規程を満たす働き方をする人です。
給与が時給であるか月給であるかという話とは無関係です。
例えば、『1日8時間で週休二日』として1ヶ月をフルで働く方は、給与計算がたとえ時給であっても、放デイの換算上は『常勤』という扱いとなるでしょう。
また、常勤換算というのは『児童指導員等の全員の総労働時間を、常勤すべき時間で割った数』というような式がありますが、わかりやすく言うと、『1日8時間』の勤務時間に対して『8時間働く人が1名いても、4時間働く非常勤が2名いても、2時間働く非常勤が4名いるような場合でもOKですよ』という換算の仕方です。
さて、児童指導員等の基準はなかなか複雑です。
まず、常勤でなければならない1名については、『児童指導員(の任用資格)』または『保育士(の資格)』をお持ちの方でなければなりません。
そして、常勤換算でよい1名(つまり、非常勤2、3名からなる場合もある)については、上記、『児童指導員(の任用資格)』または『保育士(の資格)』をお持ちの方の他に、『障害福祉サービス経験者』も配置可能です。
※障害福祉サービス経験者とは、高校卒業(または同等の資格を有する)かつ障害福祉サービスに2年以上経験した者です。
児童指導員等の詳細