数か月前の話になりますが、デリヘルの廃止届の代行を受任しました。行政書士の主な業務は申請や届出の代行でしかありませんので、経営の成功・失敗は私がどうにかできる部分ではないのですが、デリヘルの開業届けからサポートさせていただいているお客様だったので、廃業は私にとっても切ないものでした。思えば、デリヘル開業届にとどまらず、キャスト(派遣コンパニオン)との業務委託契約書の作成、デリヘル変更届等、ご依頼いただいた件数もあれこれとありました。
廃止届はめったに受任するものではありませんが、デリヘルにおいても書類自体は難解なものではありません。デリヘル開始届や変更届のように届出確認書を後日受取りに行ったりする必要もありません。書類が受理され、これで店舗が閉じるのかと思うと、あまりにあっけなく、終わりの悲しさがしみじみと湧いてきます。当事務所が福岡市南区に開業し、1年あまりで福岡県筑紫郡那珂川町へ移転した時のことが思い出されました。
デリヘルの打合せは車の中で
感傷に浸る部分はさておき、記事の本題に入りますと、このデリヘル廃止届の代行報酬が入金期限を過ぎても支払われないということが起こりました。
なぜかデリヘル関連のお客様によくあることですが、打合せをお客様の車の中で行うことがあります。風俗関連のお客様はなかなかいかつい方もおられますので、覚悟を決めて助手席に乗り込んだこともあります(何もありませんでしたが、笑)。
今回も、廃業の相談・廃止届への署名押印をお客様の車中でいただきました。当事務所は、信頼関係に任せて支払いに甘いところがあり、基本的には完了した分の報酬を業務完了後にいただいています。これでいて、支払いでトラブったことがありません。
その美学にもついに終わりが来たかと思いました。店舗には入れないというところでピンとくるべきだったのかもしれません。夜逃げ的なこともあり得ます。
ただし、私がこの時感じたのは怒りでも悔しさでもありません。もともと私は信頼を元に働いていますし、そこを柔軟にできるためにも自分で起業して責任を取る覚悟があるのです。
単発のデリヘル廃業届の代行依頼でしたら、入金後に着手という手段も考えますが、このお客様にはデリヘル開業の時からご利用いただき、適正な報酬をいただいてきました。廃業というのは一番苦しい時期ですし、最悪、お支払いいただけなくても目をつぶるという覚悟で着手しました。催促の電話をいれるつもりもありませんでした。幸いデリヘルの廃止届には法定の届出手数料等もかかりませんので、実際、気持ちだけで乗り切れる部分もあります。
この話のオチは、結局、支払い期日を過ぎましたがきちんと入金があったというものですが、リスク管理であったり事業主としてのポリシーであったりと、いろいろ考えされられるところがありました。
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