建設業許可を取得するためには、申請において『建設業での経験』が問われます。
ここでの、経験とは『請負工事』を差します。
常用工事の経験は、建設業許可を取得するための経験には算入できませんので、ご注意ください。
常用工事
建設業における工事とは『請負契約』による工事を指します。
では、請負工事ではない工事が何かというと、それが『常用工事』です。
常用工事とは、いわゆる『人工出し(にんくだし)』とか『応援』と呼ばれるものです。
これは、例えば、元請会社から「今日、現場に来られる作業員はいないか?」と聞かれ、「2人行かせます」という日雇い労働のようなものです。
常用工事は、工事一式を請負うのではなく、現場に人工出しする契約(完成を約束しない契約)なので、似て非なるものです。
常用工事は、建設業法における建設業には該当しません。
常用工事と許可申請
建設業許可申請では、御社の工事実績が問われます。
実績の疎明については、『請負契約』による契約書(または注文書や請求書)をもって疎明することになります。
疎明のために提出する契約書等が『常用工事』によるものであれば、福岡の建設業許可の審査では、『疎明資料として不可』という取扱いですので、ご注意ください。
つまり、『人工計算』されている契約書等は、疎明資料として使えません。
請負契約と業務委託契約
ここで、請負契約と常用工事がどのように異なるのかについて考えてみましょう。
契約法(民法)の考え方になりますが、請負契約と業務委託契約では内容が全く異なります。
ざっくり言うと、請負契約とは『成果・完成』を目的とする契約であり、一方、業務委託契約は完成を目的としない契約です。
例えば、メロンパンを販売するとした場合、請負契約であれば『100個の完売』を目的としており、業務委託契約は『(完売かどうかは問わず)9時~18時で販売する』というようなイメージでしょう。
建設業においても、請負契約というのは、建築物等の『完成』を目的とする契約です。
一方、常用工事というのは業務委託契約に当たるものであり、完成を目的とせず、『今日、現場に3人寄こせ』というような契約関係になるでしょう。
常用工事(人工出し)での経験は、建設業許可申請における経験とはなりませんので、ご注意ください。