行政書士の就職先

ここまでのブログをお読みになって、「行政書士での開業が難しいなら、就職はどうなの?」と思われる方もいらっしゃると思います。

また、「ガイド本には、行政書士資格は就職にも有利って書いていたよ」と思われる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そこでは、このページでは『行政書士の就職』という選択についてブログにしたいと思います。

就職には不向き

結論から申し上げると、あくまで私の印象ですが、行政書士資格は就職には不向きです。

行政書士は『独立開業型の資格』だと思います。

 

その理由のひとつは、そもそも就職先が少ないからです。

というのも、行政書士は多士業と比べて、従業員を雇いにくい業種であると思います。

これは行政書士本人がやらなければならない仕事が多いからです。

許認可業務は幅が広く、内容も煩雑なため、業務をテンプレート化して他人に任せることが難しいものです。

そのため、雑務のために事務員を雇うケースはあっても、行政書士資格者を必要とするケースというのは多くはないと思います。

 

就職より開業だというふたつ目の理由は、『給料が低いから』です。

実際にハローワークで探してみたらわかると思いますが、やっと見つけた稀な行政書士募集でも、給料の低さに驚かされます。

このぐらいの給与なら、資格勉強などやめて、一般の職を探した方がましです。

また、とにかく求人数が少ないので、『給料が安くても、安定して就職先がある』ということでもありません。

 

ちなみに、当事務所のお客様で、福岡市東区で訪問介護事業所を経営なさっている方がおられます。

そこの代表は、もともと会計事務所に勤めておられた方で、数年間は税理士になるため浪人生活をされたそうです。

税理士試験は最終合格までに、最低でも5年かかると言われており、代表も合格に向けて苦労なさったそう。

ですが、途中で気付いたことは、「今すぐ働いた方が儲かる」ということだそうで、それから介護事業を立ち上げられたということです。

士業を目指すということは、資格の勉強のために『人生の総所得』が下がります。

つまり、わざわざ行政書士資格を取るということは、『下がった、人生の総所得』を取り戻さなければ意味がありません。

その意味では、行政書士の就職というのは、非常にコスパの低い選択となります。

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行政書士事務所の求人

ここで一つ、体験談として、私は、実は一度、開業前に他の行政書士事務所の面接を受けたことがあります。

面接を受けさせてもらっただけで感謝すべきですし、ネット上で批判するのもよくないことですが、思い出話として書かせていただくことにします。

 

さて、私が面接を受けたのは、福岡県行政書士会の中でも、しかるべき立場を務めていらっしゃる先生の行政書士事務所でした。

正直、給料は安かったですが、採用でも不採用でも、そういう先生のお話を聞くことは行政書士という道に足を踏み入れた私にとって、何かプラスになると考え、応募しました。

ただし、もともと『事務員募集』だったところに行政書士資格をもって申込んだことが筋違いだったのか、その面接はスタートから厳しいものでした。

まず、面接が1対1ではなく、当日「2人まとめてしたい」と言われ、私とは別に、50代くらいの男性の方と一緒に集団面接する形となりました。

面接が始まると、いきなり、「うちは有資格者がほしい訳ではない。あなたみたいな人より、場数を踏んできた隣の(年配の)方の方がよっぽど使える」と一喝されました。

こんな始まりをもポジティブに圧迫面接としてとらえるようにしましたが、その後、「あなたみたいなまじめなタイプは、行政書士になってもうまくいかない。お客様とうまくやれるはずがない」と人間性を否定される一方だったので、こちらの気持ちも冷め切ってしまいました。

仮に、もともと採用するつもりがないにしても、行政書士会で立派な立場にある先生の言葉がこんなにも冷たいものかと悲しくなったのを覚えています。

一応言っておくと、その後、私は行政書士事務所を開業をし、今は事業を軌道に乗せています。

お客様ともうまくやっています。

ここで吠えるのもかっこ悪いですが、「ざまあみろ!」です。

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どんな求人があるの?

ちなみに、その事務所では、若い女性事務員が3名くらいいるようでした。

行政書士事務所の求人というのは、このように女性事務員の募集はあっても、資格者として行政書士が求められるケースは少ないものです。

司法書士法人等で行政書士の募集があることも見かけますが、いわゆるお茶くみ要員として、事務員兼行政書士として働ける女性が採用されるケースが多いと思われます。

お茶くみを女性の仕事だと言って差別するつもりはありませんが、言いたいのは、行政書士の求人は、給料として『男が一人前に家庭を支えるレベルではない』ということです。

 

また、よくわからない求人もあります。

例えば、税理士事務所が『法人設立』の要員として行政書士を募集しているケースです。

有資格者と期待してのことなので給料は一人前ではあるようですが、気になるのは行政書士として法人設立をどこまで任されるかということです。

当然、登記申請までやってしまうと行政書士としては違法行為です。

「本人申請ということにしときな!」などの抜け道を上司に強要されれば、従業員という立場なら簡単に断ることもできません。

 

ちなみにですが、平成25年頃、熊本県の税理士さんから、業務提携のような話を持ちかけられたことがあります。

『コンビニの法人成り』という企画を提示されました。

税理士としては『法人化に伴う消費税』の税務対応が業務となり、行政書士としては『酒類免許の再取得申請』が業務になるという企画でした。

その中で、受け入れがたかったのが、「法人設立については、山口さんが1万円でうまいことやってくれ」と言われたことです。

世の中には、『仕事を回してやる』という上からの立場で、無理難題を強要してくる人がいます。

別に、報酬が安いと思った訳ではなく、行政書士資格がぶっ飛ぶかもしれないリスクをよくも安々と強要できるなぁということです。

ここで一番幸せなことは、お互いが1人の事業主であり、私がその税理士の子分でもなんでもないことです。

私の判断で、『さようなら』ができるのです。

酒類免許申請の大量受任を逃したのはもったいないことですが、私には、自分の正義を貫けたことの方が重要なことでした。

 

あなたは、何のために行政書士になるのでしょう。

誰かのもとで雇われるためなのかどうかは、きちんと考えた方がいいと思いますよ。

 

話は戻りますが、私が面接を受けた上述の行政書士事務所ですが、事務員募集なのに、面接では「自分の稼ぎくらい自分で稼ぐように営業してもらう」と求められました。

そこまで言われると、「いっそのこと、自分で開業した方がよいのでは」と思えてくるのは私だけではないはずです。

あー、ただ、実際に開業してみると、その『自分の稼ぎくらい稼ぐ』というのが難しくて、数年さまようことになったんですが(笑)

事業が軌道に乗るまでは、「あの時、雇われていた方が幸せだったのかな」と何度も考えながら過ごしたものです。

今でこそ、大口たたけていますが。

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