夏祭りと酒類販売免許

私が住んでいる校区(浦の原)の夏祭りが台風12号の影響で中止になりました(7月26日)。校区の小さな祭りなので、子どもの頃は子ども会でお祭りの手伝いをしたものです。低学年はお祭りを楽しむ側ですが、高学年になると食バザーやお化け屋敷等を、大人と一緒にスタッフ側の立場で楽しみました。

さて、行政書士として許認可の話をすると、食バザーについて食品衛生の届出を行わなければならないことはまず気になる点です。ただし、日本各地で大小さまざまな食バザーがあるので、きちんと届出を行っているところばかりでないのも実態でしょう。

ところで、お酒の販売についてはどうでしょう。子どもの頃に祭りを手伝っていた時のイメージですが、ジュースやビールは近隣のスーパーやディスカウントショップで安く買ってきたもの祭りで定価くらいで売っていた印象があります。行政書士をやっていると「ムムム…」と思うのですが、これは酒類の転売にあたり、小売免許違反の可能性があります(ジュースは問題ありません)。

酒類免許と飲食業

スーパー等の小売店で買った酒類は購入者において自ら消費しなければなりません。小売店の客である祭り運営者が祭りの客にそのまま転売することは酒類免許違反となります。

ここで、飲食店の仕組みを考えます。飲食店は酒類を卸業者から仕入れる訳ではなく、酒屋やスーパーから仕入れます。グラス等に注いで提供することは店舗において消費することになるため酒類免許違反とはなりません。そして、夏祭り等においても開封して提供することは、飲食店と同様に違反とはなりません。

なお、ここで酒類販売免許が必要となるのは、卸業者(酒類卸売免許)と小売店(酒類小売免許)であり、酒税を負担します。転売の場合、酒税については払うべき者が払っていることにはなりますし、祭り一日の話であれば悪質な違反ではないので、食品衛生と同様、厳しく取締られるとは考えにくいものです。ただし、厳密には、酒類を開封しないで転売することは違反であることにご留意ください。

 

祭りでの酒類販売手続き

では、夏祭りでどうしても未開封の酒類(缶ビール等)を販売したい場合はどうすればいいかというと、酒類小売業について販売期間を限定した免許を受けるのが正しい手続きとなります。

期間限定免許

この場合、酒類は卸業者から仕入れることとなり(酒類小売免許を持っていれば卸業者も売ってくれますので)、安く仕入れられることになります。それでも、利益より小売免許の取得費用の方が高くつくのなら、酒類を開封して飲食提供することが正しい手続きとなるでしょう。

 

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