事業主のポリシー

前述の安い仕事は受けない!?のページでは、価格競争の上、ワーキングプアになってしまうという話をしました。

例えば、私は、「車庫証明代行を8,000円で受けるくらいなら行政書士を辞める」と思っています。

ここでは、『なぜ起業を決意したのか』というような私のポリシーについてお話ししたいと思います。

私が起業した理由

会社勤めというものは、安定した生活です。

それを捨てて、『脱サラ』、『起業』をするには、誰しも、必ず理由があります。

私の場合、『豊かに働きたい』というのが、それに当ります。

 

さて、私は、31歳で山口行政書士事務所を開業しました。

それまでの職歴は、プロフィール行政書士になった理由のページでご紹介させていただいた通りのサラリーマンです。

そこでの職場環境がどうだったかというと、ゴリゴリの『ブラック企業』でした。

『月300時間以上』働いたり、『残業代が出ない』というようなことが当たり前でした。

 

ただ、私は、働くことも好きでしたし、給料にも不満があった訳ではありません。

私にとって不満だったのは、『何のためにそんなに働いているのか』という点です。

私は、『社長が、何のポリシーもなく安易な安価受注をしている』そのしわ寄せのために、こんな労働を強いられていることに我慢ができなかったのです。

そこで、甘ったれかもしれませんが、「豊かに働きたい」とか、「会社を変えたい」とか、「自分なら、もっとまともな経営ができる」と考えた末に、起業を決意しました。

ですから、私は、絶対に、勤めていた会社の社長と同じワーキングプアのような結末になってまで経営をしないと決めています。

私には、「豊かに働きたい」というポリシーがあり、豊かに働けないような仕事をすることは、起業した意味をすべて失うことだと思っています。

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労働環境の改善

さて、社労士の先生から、ビジネスセオリーについて、ご教示いただきました。

それによると、労働環境とは、『トップダウンであり、ボトムアップが自然発生することはない』ということだそうです。

つまり、会社において、「現場のスタッフが声を上げろ」という、『下からの改革』は起こらないということです。

会社がスタッフの声に耳を傾けるなど、『上からの改革』を行わなければ、スタッフの声が会社に届くことはないそうです。

なるほど、経営というのは、経営者の意識に左右されているということです。

私も、今後、スタッフを雇うことがあれば、スタッフがついてきてくれるような立派な経営者になりたいものです。

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初心を忘れない

さて、行政書士は、お客様の起業のお手伝いをする仕事ですが、起業する方というのは、私と同じような考えのお客様も多くおられます。

「自分がやれば、もっとうまく経営できる」、「もっと豊かに生きれる」と自信をお持ちの方です。

そして、多くの方がそうしたポリシーを持って起業するものです。

それにもかかわらず、世の中にブラック企業が発生するのは、何故でしょう?

 

それは、やはり、『お金の問題』だと思います。

起業当初は、どんなに適正に勝負しようと思っていても、値下げの誘惑を拒むのは簡単ではありません。

12万円のものを、「12万円」と言い張って仕事を逃すより、「10万円」と値を下げて仕事を取る方が楽だからです。

将来の『豊かさ』よりも、目の前の『お金』に目が眩んでしまいます。

倒産してしまえば、夢も理想もあったものじゃないですし。

また、『安い方がお客様のためになる』という正論を盾にすれば、自分の中でポリシーをすり替えていくのも容易いものです。

 

この点において、私はポリシーを貫いた経営をしてきました。

お金の面だけではないですが、「豊かに働けない」と思う仕事は、毅然と断ってきました。

その分、開業当初はひもじい思いをしたこともあります。

ただし、一度でも安易な経営に手を染めると、簡単には断ち切れませんよー。

「収入が増えてから悪循環を抜け出せばいい」と思っていても、実際に収入が増えた時は、その時はその時なりの理由をたくさん抱えているものです。

ブラック企業の道から抜け出せなくなっていきます。

せっかく起業するのですから、『何を叶えたくて起業するのか』、『何に手を染めたときに、自分が起業した意味を失うのか』を見失わないようにしたいものです。

『初心忘れるべからず』ですね!

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