安い仕事は受けない!?

前述の車庫証明の仕事の取り方のページで、車庫証明の代行報酬を1万円と書きました。

私は、一度、同期の行政書士にその話をして、「高い!」と言われたことがあります。

そこでこのページでは、行政書士報酬についての話をしたいと思います。

価格を高く設定するために

まず、『車庫証明代行の行政書士報酬が1万円』と聞くと、通常、高いと考える方も多いでしょう。

福岡県内では、『1件3,000円くらい』の場合もあると伺ったことがあります。

 

そこで、当事務所が「なぜ車庫証明代行を1万円で受任できているのか?」という理由をお教えします。

それは、『ターゲットを、福岡県外のディーラー様としているから』です。

福岡県内の車庫証明代行に対するニーズというのは、『自分でもできるけど、面倒だから頼もうか』という程度です。

ところが、県外のお客様は、『福岡の行政書士に頼むしかない』という切迫した現実があります。

また、ディーラーのスタッフにしてみれば自分で財布を切る訳でもありません。

というか、行政書士探しのために、そんなに時間をかけたくもないのです。

お客様にとって車庫証明とは、言葉にすると空しいですが、『行政書士が考えるほど重要なものではない』のです。

自動車販売という歯車の1片に過ぎないのです。

お客様は、いくつもの行政書士から見積りを取ろうとか、値切ってやろうというスタンスではありません。

ディーラー様にとっては、ユーザー様へ1秒でも早く納車することがミッションなのです。

というか、『10,000円』というのは、車庫証明のそもそもの適正価格です。

ディーラー様は、もともと「そのくらいの値段だろう」と考えながら自動車販売を行っていますよ。

自分が車買った時の明細見てください。『車庫証明10,800円』って書かれているのが相場じゃないですか?

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価格をコピるな!

では、何故、『車庫証明、1万円』を高く感じるのでしょう。

それは、価格で競ったあげく、価格破壊をしてしまっているからです。

もっと言えば、訳もわからず値下げする行政書士がいるからです。

 

ところで、老舗の行政書士は県内の車庫証明を独占的に行っています。

福岡県内の自動車屋さんとコネをもち、毎日、送られてくる車庫証明書類を、段ボールで『右から左』へ手続きしています。

つまり、我々新参者の行政書士とは、車庫証明の価値構造が全く異なるのです。

仮に、月に100台なら1台3,000円まで値を下げることも可能ですが、我々のような単発受注を3,000円にはできません。

安い事務所には安くできる理由があるのです。

理由のない行政書士が、価格だけマネしてはだめです。

 

ここで、一つ、事例を検討してみましょう。

例えば、車庫証明代行には、必ず、『警察署への2往復』が必要ですよね。

プロとして、『書面のチェック』、『書類の控えの保管』、『車庫、会社、自宅などの現地確認』、『報酬の請求事務』も必ず発生する業務です。

これには、少なく見積もっても、『4時間以上』はかかるでしょう。

報酬が3,000円なら、時給換算で、『最低賃金以下』ですよ!

 

なお、これは、『ディーラーが、完璧な車庫証明書類を送ってくれる』とか、『最寄りの警察署である』ということが前提です。

実際の実務は、『使用承諾書』、『図面』、『所在証明』の手配など、もっと作業量が多いことが多々です。

広告費や交通費のことも考えれば、完全に『赤字』です。

『赤字』ということは、『アルバイト以下』どころか、『ボランティア以下』ということですよ。

決死の覚悟で取った資格で、こんな仕事をして何になるのでしょう?

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プライドを持って適正価格を!

さて、車庫証明代行は、行政書士にとって、売上げが大きな仕事ではありません。

ただ、小さな短期業務であるため、『最短のスケジュールで完了すること』がミッションの仕事でもあります。

『難しい許可を時間をかけて取る』というものではなく、『簡単だけど、さっと取る』という性質の手続きです。

前述の車庫証明で飯を食うな!?のページで説明した通り、他のお客様のスケジュールに割り込んででも、最優先で取りかからなければならないこともあるでしょう。

私は、そのスピード感を考えた上で、「報酬1万円は、何なら、安い」とさえ思います。

 

料金設定は難しく、他事務所と競っていると、どんどん値下げしがちです。

ただし、闇雲に値下げをすることは、自分の首を絞めることにしかなりません。

他事務所の料金設定に文句を言う訳でも、価格破壊に警鐘を鳴らす訳でもありません。

ただ、仮に、『3,000円の単発受注が、年間300件取れた』として、それでは行政書士として、みじめなワーキングプアにしかなれないと言いたいのです。

行政書士資格は自分自身の誇りのはずです。

プライドをもって、価格設定を考えましょう!

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