身分証明書は、現在では主に「破産者でないことの証明」のために使用します。ちなみに、身分証明書には「破産者で復権を得ない者ではない」という書き方をされますが、「復権を得る」という意味を把握していますか。実は、この「復権を得る」という文言は重要なものです。
行政書士をやっていると、様々な許認可申請で欠格要件というものを精査するのですが、この欠格要件に「破産者で復権を得ない者ではないこと」いうものがたびたび登場します。「破産」というのはいわゆる自己破産のことですが、では自己破産した人は例えば建設業許可を取得できないのかというとそうではありません。「復権」というのは、いわゆる免責のことであり、ざっくり言えば「晴れて債務をチャラにできた」ことを示します。つまり、一度自己破産した人でも債務の整理が終わった状態であれば許可を持って建設業を営むこともできます(それを証明するために、許可申請において身分証明書を添付することになっています)。
なお、身分証明書には、「成年被後見人、被保佐人、被補助人に該当しないこと」も証明されます。登記されていないことの証明書でも同様のことが証明できるので、一見、どちらか一方の証明があれば足りるようにも思えます。ところが、実は、次ページの登記されていないことの証明書で説明する通り、証明する時期に違いがありますので、身分証明書と登記されていないことの証明書は全く別物とお考えください。
取得窓口
本籍を管轄する各市区町の戸籍課等で取得します。戸籍関係の書類なので請求には本籍・筆頭者の記入が必要です。なお、戸籍謄本の仲間ではありますが、職務上請求によって請求することはできません。
4章目次