住民票について

住民票の基本的な点について解説します。

行政書士

住民票が必要になるケース

例えば、「住民票を提出してください」と言われたら、当然、住民票を取りに行くでしょう。

ところが、住民票自体が必要でなくとも住民票を取得しなければなないケースがあります。それは、「本籍を調べなければならない場合」等です。本籍は意外とご自身で把握してないもので、申請書類に本籍を記入しなければならない場合は、住民票を見て正確な本籍を確認しなければなりません。

挿絵

住民票の取得

まず、「住民票は何のインデックスを以て取得するのか」というと「住所」と「氏名」です。これによって、たとえ同姓同名の人物がいたとしても、本人を特定して発行することができます。ただし、実務としては、「生年月日」も必須のところが多いでしょう。つまり、行政書士が業務において代理取得する場合、依頼者様から事前にその情報をもらっておかなければなりません。ちなみに、住民票には「世帯主」という項目がありますが、これは仮に空欄でも交付を受けられるようです。

  • 氏名
  • 住所
  • 生年月日

挿絵

住民票・戸籍関係の請求申請書

行政書士が業務として各種証明書を取得するにあたって、やはり効率は気になるところです。毎度毎度、区役所の窓口で申請書を手書きするのはあまりにストレスですし、時間がかかり過ぎます。先のページで提供している登記されていないことの証明書はエクセル版のダウンロードについては書式が全国統一ですが、住民票等は自治体によって書式が異なります。下記、パソコン(エクセル)で何とかできないかと私なり試行錯誤した結果を解説します。

下記のダウンロードの通り、エクセルでの請求申請書を作成しましたが、結果から言うと、福岡市以外(周辺の市役所等)では備え付けの用紙に書き直しを求められることが多いです。一方、福岡市は、この用紙で受付けてもらえます(職員の方は、この用紙を備え付けの申請用紙に貼り合わせて受理します)。よくよく考えれば、郵送請求の場合、必要事項をメモ書きして送れば住民票等の交付を受けることができます(専用用紙がダウンロードできる自治体でも、プリンタ環境を考慮し、専用用紙の使用を義務づけている訳ではありません)。例えば、おばあさんが必要事項をメモ書きして送っても交付が受けられるものです。この旨、必要事項が記載されていれば、福岡市の対応はその通りだと思われます。逆に、書き直しを求める窓口については「郵送請求でもこの用紙使えませんか?」と聞きたくなるところです。とはいえ、窓口でけんかしても行政書士に何の得もないので従いますが…。業務の効率に役立ちそうであれば、ご自由にダウンロードしてお使いください。

住所の表示

さて、住民票の記入住所で気を付けたいのはマンション等の場合です。まず、住民票に号数まで登録されているかどうかというのは物件にもよります。そして、号数まで登録されてるマンションならば、住民票の請求用紙にもマンションの号数まで記入しなければ住民票の交付を受けられません(マンション名は必須ではありません)。なお、住民票に号数まで登録されていない物件もあります。割と大きなマンションでも住民票には号数が表記されない場合があり、「マンション内に同姓同名がいたらどうなるのだろう」と疑問に思ったりします。なお、マンション名等について、住民票の表記はマンションによって異なります。マンション名を表示しない場合もあればカッコ書き等で表示される場合もあります。

また、稀な話ですが、私自身の住民票を取った時に、住所表示がハイフン形式で交付されたことがあります。行政書士が業務で使用する場合は、正確な住居表示(「丁目、番地」で記載した省略形ではないもの)を希望するのがよいでしょう。なお、業務において「本籍の表示あり」で請求した場合、言わなくても住所は正確に表示されてくるのが相場ではあるとは思われます。

挿絵

証明書の取れない住所

行政書士においては、例えば、本店が福岡市中央区にある法人で「福岡市南区に店舗を設けて申請したい」というような許認可の依頼があります。許認可の申請書では、一般に、「本店所在地」「代表者住所」「店舗の所在地」を記載しなければなりませんが、この場合、福岡市南区の店舗については登記事項証明書等、何らか公の証明書で正式な住所表記を確認することができません。手元にある情報はせいぜい賃貸借契約書くらいです。

そこで、賃貸借契約書等で、例えば、「福岡市南区○○3-7-5-202」とわかった場合、正式な住所表記については福岡市南区役所の市民課に尋ねれば教えてもらえます。「南区○○3-7-5-202を、ハイフンでない住居表示で教えて下さい」という変換依頼には、委任状も不要です。

挿絵

 住民票の種類

住民票は世帯ごとに構成されており、次のいずれかを請求できます。住民票の正式名称ではないと思いますが、戸籍のように謄本・抄本と呼び分けることもあります。

  • 世帯全員のもの(いわゆる謄本)
  • 世帯のうち誰かのもの(いわゆる抄本)

ちなみに、許認可申請においては、最小の範囲として、申請者のもの(いわゆる抄本)を添付すれば足りるケースがほとんどです。行政書士によっては、不足による手戻りを防ぐために、最大の範囲(世帯全員のもの等、全てのオプションをチェックして)請求なさる方もいるようですが、適切な個人情報の取扱いのためにも、どの情報が必要なのかを理解して最小の範囲で請求すべきです。

挿絵

オプション

住民票には次のようなオプションがあります。これらの情報は、必要な項目にチェックしなければ空欄で交付されます。

  • 筆頭者
  • 本籍
  • 世帯主
  • 続柄

なお、行政書士が委任状で取得する場合、原則として、委任項目にその旨を入れておかなければなりません。例えば、委任項目は次のように記載しましょう。

  • 住民票1通の請求及び交付に関する一切の件
  • 本籍の記載も含む

挿絵

除票

除票とは、死亡等により抹消された過去の住民票です。遺産相続手続き等で必要となる場合がありますが、抹消後5年が経過すると廃棄されてしまいます。例えば、相続手続きを怠っているケースでは、既に破棄され交付を受けられない場合があります。その場合、戸籍の附票等で代替を検討しなければなりません。

挿絵

外国人の住民票

平成24年7月の法改正により、日本に居住している外国人の方にも、日本人と同様の住民票が交付されるようになりました。許認可申請では、外国人の方であれば国籍の記載を求められる場合がありますが、その住民票の本籍欄に国籍が記載されています。ちなみに、印鑑登録を行っていれば、印鑑証明書も交付されるそうです(行政書士の手続きではあまり関係ないかもしれませんが)。

挿絵

4章目次