平成27年5月1日に会社法の一部を改正する法律が施行されました。改正のポイント次の通りです。
新たに登記が必要となる事項が発生しました
定款で監査役の監査の範囲を会計監査に限定している株式会社は、その旨を登記しなければならなくなりました。株式譲渡制限を定めてる会社は該当する可能性が高いです。なお、実際に登記の変更を行う期限は、本改正における会社法施行後、初めて監査役が就任・辞任・重任する時です。
株主代表訴訟の幅が広がりました
従来は、株主は株式を保有する会社(親会社)に対して株主代表訴訟を行うことができましたが、会社法の改正後は、純粋持株会社の増加を受け、その子会社に対しても株主代表訴訟を行うことができるようになりました。なお、訴訟提起できる子会社は、次の通りです。
- 親会社が100%の株式を所有する子会社
- その子会社が親会社の総資産の5分の1を占める場合
なお、訴訟提起できる株主は次の通りです。
- 親会社の発行済株式の1%以上を所有している
- 株式を6ヶ月以上継続して保有している
社外役員の要件が増えました
従来の会社法で定められていた制限
- 当該取締役が、現在もしくは過去10年以内にその会社または子会社の業務執行取締役・執行役・使用人となったことがないこと
- 当該監査役が、過去10年以内にその会社または子会社の取締役・会計参与・執行役・使用人となったことがないこと
本改正により加重された取締役・監査役の制限
- 親会社等の関係者でないこと
- 兄弟会社の業務執行関係者でないこと
- 経営者等の近親者(配偶者・2親等内の親族)でないこと
組織再編やM&Aの際に関する改正
支配株主の異動を伴う募集株式の発行等について、総議決権の10分の1以上の反対があった場合、株主総会の普通決議が必要となります。
次の要件を満たす子会社の株式等の譲渡は、株主総会の特別決議が必要になります。
- 親会社の総資産の5分の1以上を占める子会社株式の譲渡
- 上記により親会社が当該子会社の議決権総数の過半数を有しなくなる場合
総株主の議決権の10分の9を保有する株主は、他の株主に対して保有株式の売渡しを請求できる制度が新設されました。
組織再編が法令または定款に違反する場合に、不利益を受ける怖れがある消滅会社の株主は、当該組織再編をやめるよう請求できるようになりました。
債権者を害する会社分割が行われた場合、分割会社の債権者は承継会社に対し、履行請求できるようになりました。
その他、本件会社法の改正においては、公開会社(上場会社や定款で株式譲渡制限を定めていない会社)に関わる改正部分も発生しています。