このページでは、建設業許可における工事経歴書の書き方を解説します。
まず、ポイントとしては、今後、経営事項審査申請を受ける場合と受けない場合で書き方が異なります。
一般的な方針としては、建設業許可を取れば「税抜処理」で会計を行うものであり、行政書士としても、工事経歴書を書く時は、税抜処理をベースに経営事項審査に対応した書き方をする方がよいでしょう。
工事経歴書の書き方
建設業許可の工事経歴書は主に次の2つの区分について記載します。
- 元請工事に係る完成工事高
- 下請工事に係る完成工事高
また、記載は、それぞれについて、「完成工事高合計の7割を超えるところまで」または「軽微な工事を10件まで」でOKです(大きい方から順番に記載します)。ちなみに、軽微な工事とは500万円未満の工事であり、建築一式の場合は1,500万円未満です。
なお、これに続けて主な未完工事主を記載して完成です。
さて、記入作業についてです。
建設業者ご本人であればお分かりかもしれませんが、行政書士が受任する場合、7割を超えるラインは感覚的にパッとわかるものではありません。作業としては、全ての工事について完成工事高一覧を作成し、降順でピックアップするのが手堅いでしょう。また、全ての完成工事高の合計が財務諸表等とも一致することを確認すべきなので、面倒でも、「初めから7割だけピックアップする」というやり方はやめた方がよいでしょう。
なお、工事進行基準を採用していたり、完成工事の請負代金の合計が1,000億円を超える場合は、上記以外に留意すべき書き方があります。
建設業法の違反
ここでもう一つ解説したいのが、建設業の許可を取得する前に500万円以上の工事を請けてしまっているといういわゆる「違反工事」についてです。工事経歴書を書こうとして、「やばい、どう書いたらいいんだ」と頭を悩ませるものです。
さて、上記の説明では、工事経歴書に記入すべき建設工事が「7割超えまで」「軽微な工事なら10件まで」と説明しました。つまり、逆に言うと、「書かなくてもよい建設工事」というものもあります。
そこで、これに目を付けて、請負ってしまった500万円以上の工事を闇に丸め込んでしまおうと考える方がおられます。驚くことに、行政書士でもこのようにお考えの方がおられます。ただし、これは虚偽申請にあたり、建設業者の方にとっても行政書士にとってもリスクのあることです。もし、不正を指摘されれば弁解の余地もなく、元請に迷惑がかかることもあったり、行政書士なら処分が下るところでしょう。
もし、違反工事を請負ってしまっているという方は、当事務所の建設業許可取得代行へご相談ください。
⑤決算変更編
- 建設業の工事経歴書①(前ページ)
- 建設業の工事経歴書②(current)
- 許可業種とその他工事(次ページ)
- 実績なしの許可継続
- 事業計画書