『どんな仕事でも受ける』ということをモットーにされている行政書士の方もいるかと思いますが、当事務所は、そのようなスタンスではありません。
その理由は、前述の事業主のポリシーで書いたとおり、私には『こうなりたいから、起業したのだ!』というポリシーがあるからです。
私とは異なり、『とにかく儲けたいから起業した』という方もおられるでしょう。
このページでは、ご参考までに、私がどんな仕事をお断りしているかを、紹介したいと思います。
値切りはお断り!
まず、前述の事業主のポリシーで書いたとおり、私は『豊かに働きたい』というポリシーがあります。
その『豊か』というのは、『働けど働けど我が暮らし楽にならざり』のようなワーキングプアに陥りたくないということです。
自分の人生や家庭を省みず、『働くために働く』という働き方はしたくないのです。
そこで、まず、避けたいのが『値切り』です。
価格というのは、単に『お金』という話ではありません。
例えば、10万円の仕事を5万円に値下げをした場合、2倍働かなければならなくなります。
体は1つしかないので、必ず、どこかで限界がきます。
睡眠時間を削ってまで働けば、仕事にミスが出て、そのミスをリカバリーするのは、なお労力がかかります。
ミスは、お客様にとっても不幸ですし、お客様とトラブルになることは経営として最悪のサイクルです。
とはいえ、当事務所も、値下げをすることはあります。
それは、『値下げする理由がある場合』です。
つまり、値下げ自体が悪なのではありません。
例えば、『複数の案件を、同時に依頼していただける』とか、『紹介で入ってきた仕事』など、営業費をほとんどかけず入ってきた仕事は、値を下げても利益はとんとんです。
無謀なワーキングプアに挑むことではありません。
ただ、ここで言いたいのは、値下げをする場合、『値切りの交渉に応じる』というよりは、『私の方から値下げを提案している』ということです。
その他、私は、『支払時期について柔軟に対応する』ということもありますし、お金について『プライドの塊』ということではありません。
そして、何より、値下げをする場合、『正規の値段でご依頼いただくお客様がいる』ということを考えましょう。
目先の収入のために値下げに応じることは、『正しくご利用いただいているお客様を粗末に扱うこと』ですよ。
『大切にすべきお客様を大切にしない。』
こんな働き方をしていれば、私は自分自身にガッカリします。
『どこまでが自分にとっての正義なのか』をきちんと考え、ラインを踏み越えてくる値下げは毅然とお断りしましょう。
値下げのテクニック
ここで皆様が疑問に思われるのは、「じゃあ、値下げを要求されたら、依頼をすべて断っているの?」ということだと思います。
そこで、値下げを要求された場合のテクニックをお教えしますと、値下げの要求を受けたら、何らか必ず『交換条件』をつけましょう!
「証明書は、お客様で手配してください」とか、「許可証の受取りは、ご自身で行ってください」とか、「○日までに申請というスケジュールでよければ」などです。
正規のサービスを提供して、『わがままを言った人だけが得をする』という仕組みは、正しくご利用いただくお客様に対して失礼なことです。
直観的に嫌な客
次に、私がお断りするのは『直感的に嫌なお客様』です。
「どうしてもこのお客様とは仕事をしたくない」と思う方は、思い切ってお断りしましょう。
ちなみに、私にも、どうしても我慢できなかったケースが過去に何件かあります。
ネット上なので詳細は伏せますが、共通するのは、社会人としてマナーというか、『時間や距離の概念』がない方です。
例えば、当事務所は、『無料出張相談』というのを掲げています。
これは、別に、『何回まで』と回数を規定している訳ではないですし、柔軟に、必要なやり取りには何度も足を運んでいます(1業務につき、せいぜい2~5回程度ですかね)。
すると、「業務完了までの1か月間、毎朝、うちの会社のミーティングに来て」とおっしゃる方もいました。
『無料出張相談』について、常識的な範囲がわかってない方は、必ず別のことでもトラブルが起きます。
また、かなり遠方の出張相談にも関わらず、「わざわざ遠くまでご苦労様」と一言かけてくれない方も、私は警戒しています。
そういう方は、その距離を、たいした用事もないのに呼びつけて、労力ばかりを奪っていくことが多いです。
ちなみに、一般のお客様ならまだしも、士業の方で、酔っぱらって、夜の11時に電話をかけてきて、説教を始められた方もいます。
もちろん、言われのない説教です。
当然、その方との仕事からは、手を引かせていただきました。
リピーターができる
上記のような『値下げしてくるお客様』や『直観的に嫌なお客様』について、開業当初の仕事が少ない頃は、お断りすることにかなりの迷いがありました。
実際、収入にも困っていましたので、1件の仕事を逃せば、「耐えるべきだったのか」と、何度も自問自答しました。
ただし、今となっては、お断りしたことは全て正解だったと思います。
というのも、お客様との付き合いは意外と長くなるものだからです。
行政書士の仕事は、基本的には単発の仕事です。
ただし、お客様は経営者なので、必ず変化が訪れます。
『別の事業も拡大する』とか、『移転する』とか、『契約書を交わす』とか。
ネガティブなものでは、『開業した事業を、廃業する』ということも起こりますが、そのような方は、また次の事業を興したりもします。
つまり、よいお客様とは何度もお仕事をさせていただけます。
一方、悪いお客様がいれば、何度も『腐れ縁』に振り回され続けなければならなくなります。
時間も体力も奪うお客様は、一時の忍耐では済まず、ずっと『業務妨害』のような無理難題を押し付けてきます。
相性の合うお客様は必ず現れ、長い付き合いの中で、気持ちの面でも収入の面でも事務所の運営を潤してくれるものですよ!
感謝される職業
行政書士は、「先生」と呼ばれることのある職業です。
私は、先生と呼ばれることに快感を覚えませんし、むしろ、「山口さん」くらいがしっくりきます。
また、お客様からは、お中元やお歳暮をいただくこともあります。
私は、モテない人間の人脈のページでも書いたとおり、トークの下手な人間なので、「御礼を言うのがおっくうだな…」というのが先に立ってしまいます。
それでも、やはり、行政書士というのは、気持ちがいい職業だと思います。
罵倒されたり、クレームを浴びせられる訳ではないですし、お客様から感謝されながら働くことができます。
個人事業なので、軌道に乗るまでは経営が地獄でしたが、軌道に乗った今、自分が描いていた『豊かに働く』という理想が実現できています。
その舵取り次第では、今後もいかようにもなるのでしょうが、理想の経営に向かってがんばっていきたいものです!