前術の車庫証明の仕事の取り方のページでは、車庫証明業務の受注について解説しました。
このページでは、出来上がった車庫証明書の納品のやり方を解説し、業務を完結させることを目指していきます。
なお、業務を完結なさった場合、次に湧いてくるであろう期待・疑問が、「車庫証明以外の仕事は取れないの?」ではないでしょうか。
自動車の『登録手続き』の受注など、行政書士として、さらなる売上アップは期待できるのでしょうか。
車庫証明書の納品
前述の車庫証明の仕事の取り方のページで解説したとおり、行政書士が車庫証明を代行する場合の人間関係の構図は、下記のようになります。
さて、車庫証明書の納品は、上記のとおり、『ディーラー様』に対して行います。
『ユーザー様』に対してではないですよ。
なお、『福岡で取得した車庫証明書』というのは、『福岡でナンバー登録』するために使用します。
ざっくり言うと、『福岡ナンバー』のナンバープレートを作るために、『福岡の運輸支局』で使用します。
このため、上記のように、ディーラー様に『福岡支店』等があれば、車庫証明書はそちらへ届けることもあるでしょう。
ただし、ディーラー様によっては、福岡支店へ小分けに書類を送るよりも、東京本店でまとめた納車書類一式を福岡支店へ送りたいというケースもありますので、どちらへ届ければいいのかはディーラー様へ尋ねるのが一番でしょう。
初めて受任する行政書士の方は、わからないことだらけだと思いますが、こういうことは『知らなくて恥ずかしいこと』ではないので、先方にきちんと確認しましょう。
なお、ここで言う『福岡支店』に届けることになった場合、郵送よりは『持参』の方が親切だと思います。
登録申請は受注できない
車庫証明書を納品すれば、行政書士としては、ひとつの業務が完了したことになります。
ここで、納品した車庫証明書を、ディーラーが何に使うのかを考えてみましょう。
その答えは上記で軽く述べましたが、車庫証明書は、自動車の『登録手続き』に使います。
車庫証明書を取っただけでは自動車はまだ公道を走ることはできず、『ナンバー登録』ということを行わなければなりません。
車庫証明書とは、ナンバー登録手続きの『添付書類の一つ』なのです。
ここで、行政書士として当然わき起こる疑問は、「じゃあ、車庫証明に続いて、登録申請代行の依頼も取れるの?」ということです。
ただし、その回答は、『ノー』です。
「登録もお願いします」と頼まれることはごく稀であり、車庫証明書代行のみで依頼が終了するのが一般的です。
封印
上述のとおり、車庫証明代行を行った行政書士は、登録申請まで依頼されることがありません。
その大きな理由は、普通自動車のナンバー登録には、『封印』という手続きが必要になるからです。
封印とは、ナンバープレートのネジ部分につけるカバー金具のことです。
普通自動車は、封印の金具あるため、個人が勝手にナンバープレートを取り外しできない仕組みになっています。
では、封印は、いつどこで付けるのでしょう。
その答は、『登録する時』に『都道府県の運輸支局で』です。上記で言うならば、『福岡の運輸支局』になります。
このため、ナンバー登録では、運輸支局において、封印を行う『車両』の持ち込みが必要になります。
つまり、登録申請というのは、『現物』の持ち込みが必要である点で、『書類』で完了する車庫証明代行とは一線を画す手続きです。
ここで、ディーラー様は、当然、車を持っています。
ないのは『車庫証明書』だけです。
つまり、車庫証明書さえ行政書士に取ってもらえれば、あとは、自分のタイミングで、車両と車庫証明書を運輸支局へ持ち込めるのです。
仮に、登録申請の書類作成代行が必要ならば、運輸支局付き(?)の行政書士が対応します。
とりあえず、我々のような、車庫証明の新参行政書士の出番は、ほぼありませn。
出張封印
ちなみに、『出張封印』という制度があります。
『運輸支局の外で封印ができる』という制度であり、特別な資格を得た行政書士はこれができるようになります。
ただし、出張封印ができるケースというのは限られていて、すべてのケースで出張封印ができる訳ではありません。
概ね、ディーラーから受注するこの手の登録申請は出張封印ができないケースに該当すると思いますので、車庫証明が何件か受注できたくらいで出張封印に手を出すのは、思い違いになるでしょう。
車関係の業務に興味を持たれた方は、詳細はご自身で勉強なさってくださいね。