この章では、車庫証明代行を例として取り上げ、行政書士業務について営業から実務までの解説を行ってきました。
このページでは、その『車庫証明代行』と併せて依頼されることのある『希望ナンバー』について解説をします。
なお、実務の解説になるので、飛ばしたい方は、安い仕事は受けないのページへお移りください。
希望ナンバーの受任
希望ナンバーとは、自動車のナンバープレートを『希望の番号』にするための手続きです。
ちなみに、『希望の番号』とは、『4ケタの数字』です。
なお、番号が枯渇するらしく、ナンバープレートには、アルファベットも導入されるそうです。
さて、この章では、『車庫証明代行』というテーマで解説してきました。
そこで、ここでの解説も、車庫証明代行の一貫として希望ナンバーの解説をしたいと思います。
つまり、『ディーラー様から車庫証明代行を受任し、併せて、希望ナンバーを受任する』というケースについて解説します。
車庫証明代行からおさらいしたい方は、車庫証明の仕事の取り方のページまでお戻りください。
さて、いよいよ、希望ナンバーの受任についての解説です。
まず、『希望ナンバーの依頼の受け方』は、主に、次のように受任することが多いと思います。
『車庫証明の代行依頼と一緒に、メモ程度で4桁の数字を受け取る』という形です。
ただ、希望ナンバーの申請書には、この数字以外にも必要な記載事項があります。
そこで、『ディーラー様から4桁の数字だけを伝えられた』というケースについて、行政書士としてどのように業務の進めればいいかを解説します!
まず、一般的な行政書士にとって、今どき、車庫証明代行はメイン業務ではありません。
なので、『たまに仕事を受ける自分』が、『毎日自動車を販売しているディーラー様』に圧倒されてしまうこともあるでしょう。
4桁の数字を見つめて、「他の情報は、行政書士側で何とかしなければならないものなのか…?」と悩んでみたりするものです。
ただし、実は、ディーラー様は、手続きに関しては意外と疎いのです。
行政書士がどの情報を欲しているのかをわかっていないことも多々あります。
つまり、「知らない私が恥なのか」と悩まず、知りたいことは遠慮なくディーラー様に尋ねましょう!
とはいえ、行政書士としてバカ丸出しではいけないので、このページである程度勉強してくださいね。
申込書を入手する
まず、申込用紙は、下記のようなものです。
ネット上にダウンロード版というものはないので、福岡陸運会館で専用用紙を入手する必要があります。
とはいえ、用紙を持っていないという方も、事前にわざわざ取りにいくほどのものではありません。
記載は簡単なので、『窓口でその場で書ける』と考えてOKです。
ちなみに、用紙は全国共通なので、お客様が手配して、車庫証明の書類一式と一緒に送ってくださることも、稀にあります。
申込書の書き方
用紙はマークシートになっており、全て鉛筆で記入します。
鉛筆は窓口にあるのでご心配なく!
では、いよいよ、申込み用紙の書き方についてです!
①自動車種別
『①自動車種別』は、普通自動車ならば、下記の通り、「1」と記入します。
②車種分類
『②車種分類』には、上記の通り、「3」や「5」などを記入します。
これは、ナンバープレートにおける『福岡330』、『福岡502』などのことです。
いわゆる『3ナンバー』とか『5ナンバー』とかいう部分のことです。
ディーラー様から情報をもらっていなければ、尋ねるのがいいでしょう。
ただし、次のことをネットで調べれば、何に該当するのか判別できるようになっています。
- 車庫証明での情報(車名、型式、大きさ)
- どういう場合に「3」「5」なのかを学ぶ
なので、お客様に尋ねる場合は、いったん調べた上で、「3で間違いありませんよね?」などと確認する方がスマートだと思いますよ。
「3ナンバーですか、5ナンバーですか?」とストレートに聞いてしまうと、少しアホっぽい質問になってしまいます。
というのも、行政書士にとって、『型式』や『自動車のサイズ』は文字でしか目にしませんが、お客様は、車自体をビジュアルとして認識しています。
お客様にとっては「こんな小型車が3ナンバーな訳ないだろ」と直感的に感じる場合もあるでしょう。
これは、老人に向かって「18歳以上ですよね?」と年齢確認しているようなものですよ。
というか、『どんな車なのかも把握せずに仕事をしている』ということをさらすのは、プロとして恥ですよ。
③用途
『③用途』は、下記の通り、「1」となるでしょう。
ちなみに、事業用というのは、いわゆる『青ナンバー』のことです。
自動車2種免許を持って運送業許可を取ったりする時のものです。
つまり、ユーザー様が法人だからといって、『会社で使う=事業用』ではありません。
会社で使うものであっても、お客様から特別な指定がなければ、『自家用』でしょう。
お客様には、念のため、「白(自家用)ですよね?」と確認するようにしましょう。
④種類
『④種類』は、上記の通り、「1」となるでしょう。
ちなみに、この『ペイント』というのが、普通タイプのナンバープレートのことです。
昔のヤンキーがつけてそうなのが、蛍光タイプです。
お客様から特別な指定がなければ、普通タイプでしょうね。
⑤大きさと枚数
『⑤大きさと枚数』は、下記の通り、「4」となるでしょう。『中型2枚』です。
『中型』というのが普通タイプの大きさのことです。
そして、前後につけるので、『2枚』となります。
ちなみに、『大型』というのは、バスとかトラックについている大きなサイズです。
街中で、バスやトラックのナンバープレート見てみると、サイズが一回り大きいナンバープレートがあることに気づくと思いますよ。
さらにちなみに、希望ナンバーを受注する際、メモではなく、ディーラー様が業務で使っている様式で受注することがたまにあります。
ただ、それらの様式で『大きさ・枚数』という欄を見たことがありません。
おそらく、普通自動車の販売店にとって、『大』のナンバープレートに該当するケースがないからだと思われます。
なので、手続きに疎いお客様に、いきなり「中型ですか?大型ですか?」と聞くとかえって混乱させてしまうでしょう。
聞くとすれば、「普通の大きさですよね?」くらいがよいかもしれませんね。
何なら、ここは、確認なしに、「4」と記入してもいいと思いますよ。
ア 希望番号
いよいよ、希望のナンバーを記入する欄です!
4桁の数字が、仮に『4567』なら、下記の通り、(ア)には、「4567」と記入してください。
イ 車台番号
下記の、(イ)には、車台番号を記入してください。
車台番号とは、車庫証明の申請書にも記入した情報なので、今さら慌てることはないのですが、実は、
この車台番号については、最大に注意しなければなりません。
というのも、業務手順として、『車庫証明を警察署へ提出した足で、希望ナンバーの運輸支局へ向かう』という順番を取ることがあるでしょう。
この場合、車庫証明の申請書は提出してしまっているので、『車台番号が手元にない…』ということが起こり得ます。
福岡陸運会館に行く時は、申請書のコピー等、自動車の情報を持っていかなければならないことにご注意ください。
ウ 使用者の名称
下記の、(ウ)についても、車庫証明で使用した情報があれば書けます。
ちなみに、ユーザーが法人の場合、この登録名義は、『法人名』にすることも、『代表取締役名』にすることも可能です。
お客様から特別な指定がなければ『法人名』だと思いますが、心配ならお客様に確認しましょう。
エ 使用の本拠の位置
下記の、(エ)には、「福岡市」「福岡県筑紫郡」などを書きます。
オ 申込者
上記の、(オ)には、申込みに行った人の名前と連絡先を書きます。
代行の場合でも、ここに、ユーザー様の名前は書きませんよ。
つまり、あなた自身(行政書士)の連絡先を書いてくださいね。
例えば、私なら、「山口永吉」と『私の電話番号』を書きます。
なお、申込用紙は、様式が変更され、2015年度から、『承諾欄』という欄が追加されました。
私は、用紙をストックしているので、古い用紙を使ってしまいましたが、古い用紙もまだ使えました。
ただ、新しい様式に替えておくのがよいでしょう。
行政書士の方で、用紙をストックされている方は、ご注意ください。
申込書の提出と支払い
申込書を書き上げたら、窓口に提出しましょう。
提出と同時に、ナンバープレート代も支払います。
上記(ペイントタイプ)の場合、4,100円です。
なお、希望ナンバーは、福岡陸運会館で提出したすぐその場で、『予約済証』の発行を受けられます。
1・2分で発行されます。
そして、行政書士の『希望ナンバー業務』は、この『予約済証』を受け取れば、業務はほぼ完了です!
業務の終了(納品)
さて、この『予約済証』とは、出来上がったナンバープレートと引き換えるためのものです。
予約済証の発行から4日後くらいに、ナンバープレートと引き換えができます。
なお、希望ナンバー業務では、行政書士は、この引き換えまでは行わなくてOKです。
つまり、納品とは、お客様に対し、この『予約済証』をお渡しすることです。
車庫証明も並行して行っているならば、『車庫証明書』と併せて、納品しましょう。
ちなみに、「ナンバープレートは誰が引き換えるのか?」というと、それは、『ナンバー登録(登録申請)をする人』です。
それは、希望ナンバーにするかどうかにかかわらず、ナンバープレートの現物を受取るのは、登録申請を行う人なのです。
例えば、車庫証明代行だけを受注した場合でも、ナンバープレートまで手配しないですよね。
登録申請をする人が運輸支局へ登録申請へ行った際に、『予約済証を持っていれば、予約したものが受け取れる』というだけの話です。
つまり、希望ナンバーを受注した行政書士が、わざわざ後日にナンバープレートに引換える必要はないのです。
ちなみに、私は、希望ナンバー完了の報告がてら、「予約済証をお送りします」と一報を入れるようにしていますが、そこで、お客様から「いやいやナンバープレート現物を送れよ」と言われたことは一度もありませんよ。
車庫証明と希望ナンバーの順序
車庫証明書と希望ナンバーについて、手続きの順番は、どちが先ということはありません。
上記の通り、2つを並行して進め、『車庫証明書』と『予約済証』の両方がそろった段階で納品することとなるでしょう。
ちなみに、車庫証明書の納品についておさらいしたい方は、前述の車庫証明書の納品のページをご覧下さい。
なお、納品時には、一応、お客様に対し、『いつから、ナンバーの引換えが可能か』ということもお伝えしましょう。
例えば、引換え可能日が『1月24日』だとして、『1月23日』に納品を済ませたところ、お客様が『23日に登録に行った』ということになれば、無駄足にさせてしまいますので。
抽選ナンバー
ところで、4桁の数字には、人気が殺到している組み合わせがあります。
『抽選ナンバー』と呼ばれるもので、例えば、『7777』などです。
この『抽選ナンバー』を希望する場合は、運輸支局に行く前に、『抽選手続き』という事前の手続きも必要になりますよ。