チラシ・コピーライティング

ここからは、いよいよ具体的な営業方法の勉強です。

その第一弾が、『チラシ』です!

「営業の勉強って何から始めればいいの?」とお悩みの方は、まずは、この『チラシ』を学びましょう。

まえがき

ここからの数ページは『営業の具体的方法』について解説しますが、そこでひとつ断りを入れておきます。

それは、営業とは、『こうすれば、こうなる』という絶対的なものではないことです。

営業とは、『こうすれば、こうなりやすい』という確率論だと言えるでしょう。

これは、『まえがき』というよりは『本質』と言えるかもしれません。

本質とはどういうことかというのは、前ページにおいて『ラジオショッピング』のエピソードを用いて解説していますので、ご覧でない方は一旦お戻りいただいた方が、これからの話が入ってきやすいと思いますよ!

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コピーライティング

いよいよ『チラシ』について解説を始めますが、皆様の中には、このようにお考えの方もいるのではないでしょうか。

「私は、紙のチラシをばら撒くつもりはない」と。

ただし、ここでいう『チラシ』とは、紙の話ではありません。

いわゆる『コピーライティング』という話です。

コピーライティングとは、『宣伝文句の書き方』のようなことであり、紙以外の媒体を使う場合でも共通の考え方になります。

看板、DM(ダイレクトメール)、ホームページなどは、それぞれサイズや文字数などに違いはありますが、どれも『コピーライティング』という法則を意識して作成することになります。

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ポイント①

まず、チラシ(コピーライティング)のポイントは、大きく3点からなります。

 

そこで、重要になる第1のポイントは、『テーマ』です。

『テーマ』という言葉がピンとこない方は、『タイトル』と思っていただいてもOKです。

 

さて、営業では、テーマを考えずして、営業の成功はありません。

というのも、チラシにおけるテーマとは、誰に売るかという、『ターゲット』を定めることだからです。

難しい言葉で言えば、『マーケティング』と言ったりもします。

 

つまり、テーマを決めるとは、『何を売るか』はもちろんのこと、営業においてまず重要になる『どんな人に売るか』を決めるということです。

これを明確にすることが、営業の基本になります。

 

ここで、行政書士業にとって一番まずいパターンのチラシの例を下記にご紹介します。

悪いチラシ

このチラシでは、営業は絶対に成功しません。

その理由を、テーマ(タイトル)に注目しながら、皆さんもお考えください。

 

まず、タイトルを見るに『行政書士事務所』というものを売りたい(アピールしたい)のだと思いますが、一般の方にとって『行政書士』というのはわかりずらい職業なので、あなたはともかく、お客様にとっては何屋さんなのかわからないのです。

次に、『行政書士』というタイトルは、どんな人に向けられたサービスなのかわかりますか?

『若い女性』でしょうか?『アラフォー男性』でしょうか?

『行政書士』という宣伝文句には、『誰に向けて売りたい』という要素を含むものではないのです。

このチラシは、あなたが『ついに行政書士事務所オープンしたでー!」とアピールしているだけです。

お客様の顔を一つも想像していません。

こんなチラシは『2秒でゴミ箱行き』です。

 

そこで、チラシの『テーマを考える』という作業について考えてみましょう。

例えば、売りたいものを『相続手続き』と考えれば、お客様の顔が浮かんできませんか?

そこで、例えば、『70歳以上の高齢者』が思い浮かぶなら、それが『テーマを考える』ということです。

そして、チラシとは、読み手に向けた配慮を、タイトルを含め、チラシの全体に込めてあげることです。

そこから、下記のようなチラシを作ることができれば、あなたの営業は成功に一歩近づきます。

テーマ

ちなみに、読み手を『70歳以上の高齢者』と想像した時に、チラシに使用する画像は『高齢者が相談に来ている写真』を使ったりする方が受け入れられやすいでしょう。

文字についても、高齢者が読みやすい大きさにしましょう。

そして、そうした際、言いたことはたくさんあるというあなたの我を抑えて、読み手のために思い切って『高齢者が読みやすい量』へ文章量を減らしてあげるということまでできれば、営業初心者からの卒業はもうそこまで来ています。

 

ところで、このようなチラシを見て、「いや、私がやりたい業務は相続だけじゃない」と反論なさる行政書士の方がおられます。

もちろん、それはごもっともです。

そして、おすすめしているのは、当然、『専門業務を1つに絞れ』ということでもありません。

 

つまり、絞るのは、あくまでチラシにおいての話であり、『1チラシに対し、テーマは1つ』ということです。

例えば、『相続』も『会社設立』を宣伝したいなら、『相続』というチラシを高齢者に、『会社設立』というチラシを事業者に、それぞれ配ればいいのです。

 

ちなみに、皆さんもご覧になったことがあるかもしれませんが、「借金のことなら○○に聞け」とCMしている某司法書士事務所があります。

ところが、実は、この司法書士事務所は、「B型肝炎訴訟は○○にご相談ください」というCMもしています。

これが、『チラシのテーマを一つに絞る』ということです。

売れている事務所というのは、こういう営業の基本をはずしていないですよ!

基本を忘れるな

コピーライティングの考え方は、どんな場合でも共通する『営業の基本』です。

ところが、媒体が変わると、この基本を見失ってしまうことが往々にしてあります。

 

例えば、『チラシ』から『看板』にサイズに変わった場合、何を舞い上がってしまうのか、『店名をアピールする』という失敗を犯してしまいがちです。

例えば、『アトム』という名前の食堂がついつい犯す失敗は、大きな文字で『アトム』という看板を出すことです。

営業の基本に立ち返れば、お客様にまず知ってもらうべきことは『アトム』ではありません。

「ここは食堂だよー」ということです。

食堂だとわからなければ、お客様は、お昼時に前を通っても、絶対に入りません。

 

では、良い看板とはどんなものかというと、大きな字で、『食堂』というテーマが読み取れる看板です。

もう一歩突っ込めば、例えば、男子学生をターゲットにした食堂なら『ボリューム満点500円!唐揚げ定食が大人気』と書いてあれば、一見さんでも入りやすいお店になります。

屋号の『アトム』は、小さな文字で隅っこに書いておけばいいことです。

 

なお、『あえて看板を掲げず、逆に、お客様の興味を引きつける』という手法もあります。

これは、後のページで説明する『口コミ』と呼ばれる営業手法です。

ただし、その場合は、『口コミ』という営業手法をしっかりと勉強した上で行うことになります。

ただ単に『奇をてらったおかしな広告』では営業は失敗しますので、まずは基本に忠実に!

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ポイント②

次に重要になる第2のポイントは、『値段を載せる』ということです。

値段を載せる

サービスを受ける上で、お客様が最も知りたい点は『値段』といっても過言ではありません。

特に、『行政書士事務所』というよくわからないサービスについては、「ぼったくられるんじゃないか」と不安に思っておられる方もいらっしゃいます。

別に、相談を無料にしろということではなく、相談が『1時間で1万円』でもOKです。

ただし、事前にそれを知らせておくべきであり、自分がお客様の立場になれば、いくらかわからないものに問い合わせはしないと思いませんか。

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ポイント③

最後に重要になる第3のポイントは、『導線』という考え方です。

『導線』というと少し難しく聞こえるので、『ゴール』といった方がわかりやすいかもしれませんね。

 

さて、皆さんは、『広告にはゴールがある』ということをご存じですか?

私は、この考え方を初めて聞いた時、度肝を抜かれたことを覚えています。

「チラシにそんなものがあるとは知らなかった」と、自己流の限界を感じた瞬間でした。

 

さて、『ゴールがある』とは、どういうことかというと、例えば、チラシは、読んで「面白かった~」とか「勉強になった~」とかで終わる読み物ではいけないということです。

ビジネスの営業ツールである以上、必ず、読み手に対して、『何か行動に移してほしいこと』があるはずだということです。

導線

そこで、チラシでは、お客様に『○○させる』というアクションに導かねばならず、これを『導線』といいます。

この『ゴール』とは、例えば、『電話をかけてほしい』とか、『クーポンを持って来店してほしい』などのことです。

なお、電話をかけてほしい場合、上記のように、電話番号は中央に大きく書いておくべきでしょう。

「隅っこに電話番号を載せておけば、お客様が見つけてかけてくれるだろう」というのは、とても不親切なチラシです。

特に、お客様というのは、得体のしれないチラシに対し、「電話しようかなぁ…」と迷っています。

そういう方に対し、『電話、ウェルカムですよ~』と誘ってあげるためにも、『導線』という後押しをしてあげなければならないのです。

 

ちなみに、お客様の背中を押してあげる仕組みには、『限定』という手法もあります。

締切りがあると、心理的に、急いで問い合わせたい気持ちになります。

ただし、あからさまなビジネス戦略として『限定』を用いることは、私は品がないと思っています。

例えば、『限定3個。タマゴ50円!』というスーパーのチラシがあるとして、夕方に買いに行ってまだ売ってあったら、「ラッキー」と思いますか?

『騙された感』でいっぱいになるでしょう。

『限定』は、使い方を誤ればお客様から「繁盛していない行政書士事務所じゃないか」と不信感を持たれますし、もちろん、ウソを書けば景品表示法違反です。

 

このように、営業は、学べばいろいろなノウハウが出てきますが、自分の事務所でうまく機能させられないことは、無理に取り入れないのも賢明なことです。

『自分がやられて気持ちの悪い広告』は、相手に対して発信してはいけませんね。

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補足

ここで、チラシの営業効果をあげるための小技を補足紹介します。

それが、チラシには『顔写真を載せる』ということです。

 

さて、人が、相手に対して最も興味を持つのは『顔』です。

ニュースや事件では、必ず、犯人や被害者の顔が関心の的となります。

山口

試しに、ここに私の顔写真を載せてみましたが、絶対に、私の顔が否が応にも目に入ったはずです。

また、先日、葬儀に参列しましたが、故人を偲ぶために皆が見ていたのは『遺影の写真』でした。

本当は、ご遺体があるのは棺桶の方なのにですよ。

このように、人は、人の顔に興味があり、顔写真があればチラシの効果は必ず上がります。

 

なお、どんな写真を載せればいいかというと、お客様に対して『できるだけにこやか』で、かつ、『行政書士として品のある』ものを載せましょう。

『行政書士事務所という固いイメージの場所へ電話をかけなければならない』という、お客様の気持ちを解きほぐしてあれられるような写真にしてくださいね。

 

さて、ライバルも見ているこの場で、私がわざわざこうやって秘策を公開してあげているにも関わらず、「顔を出すのは、ちょっと…」と、ごねる方がいらっしゃいます。

私としても、別に、そんな人のビジネスが失敗しようと構いませんが。

ただ、せっかくこのページにたどり着いたご縁もあるので、もう一押しだけさせていただきます。

『顔を出すことは、何の実績もなく、誰でもできる、事業成功へのワンステップ』ですよ!

我々のような、『無名の零細企業』を信用してもらえる材料なんて、そうそうあるものではありません。

それが、顔を載せるだけで、多少の信用が得られるのです。

それでも嫌だと言うのなら、事業主なんて辞めておいた方がいいとさえ、私は思いますよ。

似顔絵

ちなみに、どうししても抵抗があるなら、似顔絵という方法もありますが、おすすめはしません。

というのも、お客様の気がかりは、チラシを見て『騙されないか』ということです。

つまり、広告というのは、ひとつでも『真実が多い方がいい』のです。

似顔絵というのは、写真と比べて、『ちょっとだけウソ』になりますよ。

 

なお、顔写真を載せると、『お客様から「この人には任せたくない」と思われて、お問合わせが減るのでは』と懸念しませんか?

そのご懸念のとおり、お問合わせは減るかもしれません。

人間同士ですので外見の相性もあるものです。

ただし、それの何がマイナスなことなのでしょう。

『無駄な問合せを受けずに済んだ』と思えばいいではないですか。

 

私の場合、自慢ではないですが、アラフォーにも関わらず、いまだ20代に間違われるルックスです。

お客様によっては若い行政書士を信頼なさらない方もおられるため、写真を載せれば、そういう方からの問い合わせはなくなります。

ただ、お蔭で、ご相談に伺ったあげく「若いけど大丈夫かよ」と断られて帰ることもありません。

逆に言うと、写真を載せていれば、あなたに好感を持ってくださる方ばかりからお問合せいただけることになりますよ。

写真を載せて、『よい相談』を増やしてくださいね。

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まとめ

さて、これまでの話をまとめると、望ましいチラシの例は次のようになります。

良いチラシ

ここでご紹介できたのは、チラシ・コピーライティングのほんの触りの部分です。

もっと掘り下げて知りたい方は、書籍やネット上にも、ノウハウは転がっていますので、各自勉強なさってください。

私のエピソード

ちなみに、行政書士を開業する前にのページでも述べましたが、私は開業当初に、高額な行政書士セミナーに大枚をはたいたという失敗談があります。

そのセミナーでは、このページで書かれているくらいのノウハウ提供で、15万円くらいを取られたのです…。

「こういったコピーライティングができるようになるだけで、相続の仕事がじゃんじゃん来るよ」、「他の行政書士は営業に疎いから、こんなチラシをまくだけで、勝ち組になれるよ」などと焚き付けられました。

私は、その言葉を信じ、行政書士の入会式から帰ると、その足ですぐさま大量のチラシを配りました。

ですが、結果は、行政書士では食べていけないのページで書いた通りの惨敗です。

ちなみに、チラシというのは、反応率が1%前後の広告媒体です。

よいコピーライティングをすれば、反応率が『0.3%から1%になる』というようなことはありますが、『10%になる』ということは、常識的にあり得ないことです。

営業にとって、その数%の積み重ねこそが大事ではありますが、とはいえ、コンサルやセミナーが謳っているほどの簡単なサクセスストーリーは眉唾ものでしょう。

 

コピーライティングとは、それだけで行政書士を食べていけるようにするスキルではありませんが、営業の基本となるスキルです。

ぜひ、腕を磨いてください!

 

ちなみに、紙媒体のチラシを配る場合、プリントパックラクスルなど、ネット注文できる印刷がオススメです。

安価で品質もいいですよ!

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前後のトピック