さあ、前回に続き、具体的な営業方法の勉強をしましょう。
今回は、第五弾の、『メディア戦略』です!
例えば、「無料で、雑誌で紹介されたい」、「無料で、新聞に載りたい!」、こんな虫のいい話が世の中にあるでしょうか?
いや、実は、あるのです!?それが、『プレスリリース』という営業方法です。
プレスリリースを送る
前述の口コミのページで、『口コミとは、自然発生ではなく、意図的に生み出すテクニック』だと紹介しました。
これと同様に、メディア取材も、実は、『よい仕事をしていれば、いつか取材が来る』というものではなく、意図的に生み出す営業方法です。
つまり、新聞、雑誌、テレビなどで紹介されるお店というのは、『評判を聞きつけた取材班が取材に行っている』のではなく、『お店から取材班に取材依頼をに送っている』ということです。
ここで、「えっ、取材依頼を送ってくださいなんてどこにも書いてない」と思われたかもしれません。
ご名答!そんなことはどこにも書いてありません。
ところが、『実は取材依頼を募集している』というのが、プレスリリースという話です。
「いやいや、送ってくれと言われてないのに送ったら失礼でしょう」とお思いですか?
そのような方のために、プレスリリースを簡単にご説明しますね。
まず、『お店がオープンしました!』、『お店を移転しました!』、『新しい事業を展開します!』など、ニュースを発信することをプレスリリース(またはリリース)と呼びます。
これは、『メディアへ送りつける』ということを特別に指すのではなく、自分のホームページ上で発信することもプレスリリースです。
クライアントなど、特定の相手へお便りを出す場合もプレスリリースです。
つまり、プレスリリースというものは、ニュースを発信する側が『そもそも、勝手に発信してよいもの』なのです。
上記の『取材依頼』というのは少し語弊があり、正しくは、『プレスリリースを発信する』ということです。
そして、その相手が、たまたま、新聞やテレビなど『メディア』というだけのことです。
リリースを受け取る側
上記において、『自分の側からは、自由にプレスリリースを送っていい』ということはわかったと思います。
ただ、「本当に、勝手に送りつけて大丈夫?」という疑問もあると思いますので、今度は、リリースを受け取る『メディア側』について考えてみましょう。
まず、メディアは、毎日、ニュースを探しています。
なぜなら、ニュースや新聞を空っぽにする訳にはいかないからです。
そこで、やらなければならないことが、『取材』です。
ところが、ゼロからネタを探すのは途方もない作業になります。
そんな時、都合よく手元にプレスリリースが届いていれば、どうでしょう。
『渡りに船』ではありませんか。
つまり、プレスリリースとは、このような『暗黙の、win・winの関係』なのです。
募集要項などありませんが、勝手に送って大丈夫なものです。
新聞社や雑誌社などには、毎日、膨大なリリースが送られています。
なお、ここで言う『メディアに紹介される』ということは、広告欄を買って掲載する『有料広告』のことではありません。
プレスリリースは、掲載のためにお金を請求されるものではなく、無料です!
リリースのメリット
では、メディアに取り上げられると、どんなメリットがあるのでしょう。
まず、バカでもわかることですが、掲載されること自体に宣伝効果があります。
『広告費0円で、大々的にお店を発信できる』ということですから、当たり前の話です。
ただ、メディアで紹介されて本当にメリットになる点は、実は、そういう一過性のものではありません。
最大のメリットは、お店の『信用度がアップする』ということです。
これは、前述の口コミのページでもご紹介した『第三者の評価』という効果です。
人は、「うちの店はおいしいよ!」と迫られると拒絶したくなり、逆に、誰かから「あの店はおいしいよ!」と聞くと信用したくなるという心理のことです。
いわゆる、『レビュー』というものです。
例えば、『福岡Walkerで紹介された』とか『博多華丸さんがおいしいと言った』ということだけで、「きっと、おいしいに違いない」と信用してしまいますよね。
そして、その『○○で紹介された』という称号は、その時だけでなく、いつまでも使える称号です。
つまり、メディア取材を受けることで、お店に『ステータス』をプラスできるのです。
例えば、当事務書は、『ふくおか経済 2018年2月号』に紹介され、ホームページ上でも、上記の画像を掲示しています。
それだけで、見ている人は、「山口さんはすごい人なんじゃないか」と思ってくれたりします。
リリースの書き方
プレスリリースは、前述のとおり、『自分が勝手に発信してよいもの』です。
ただし、メディアへ送るリリースというものは、どのように書いてもよいという訳ではなく、書き方には『マナー』があります。
①送り方
まず、送り方は、一般的には、『FAX』です。
そして、ここが一般のビジネスマナーと異なる点ですが、そのFAXには『送付状をつけない』という点を覚えておかなければなりません。
さらに、どんなに伝えたいことがたくさんあっても、『必ず1枚に収める』というのが決まりです。
つまり、プレスリリースの送り方とは、『本紙1枚だけをFAXする』ということです。
なぜ、そのようなマナーなのかというと、『メディアには毎日膨大なプレスリリースが送られているから』です。
受け取る側としては、FAX受信にはコストもかかるし、膨大なリリースに目を通すということも大変な作業になりますよね。
なお、あなたが送る場合、送付先の番号がわからないときは、「プレスリリースを送りたいのですが」と先方に電話でたずねてから送りましょう。
②書き方
プレスリリースには、定型の書き方があります。
まず、下の図をご覧ください。
上図のように、プレスリリースの紙面には、次の項目で構成しましょう。
- 宛先
- 日付と送り主名
- 見出し(最大2行。大きな文字で。)
- 内容(最大5行)
- メニュー等
- 店舗・店主等の画像
- 問合せ先
このうち、最も重要なのが『③見出し』です。
見出しには、『ニュースの概要』および『取材する価値があるのか』がわかるようにまとめましょう。
何度も言いますが、メディア側には、膨大な量のプレスリリースが届いています。
1枚に目を通せる時間は、『数秒』と言われています。
その数秒で『もっと読むか、ゴミ箱行きか』というのは、『見出しの一読』にかかっています。
リリースのデメリット
ここまで読んで、「広告費0円でそんなおいしい宣伝ができるの!?」の色めきたったかもしれませんが、実は、プレスリリースには決定的なデメリットがあります。
それは、『採用されるとは限らない』ということです。
メディア側に『取材するに値しない』と判断されてしまえば、労力がすべて無駄になるのです。
取材の連絡があるのは一般的には『1週間程度』と言われているので、送る準備を含めると、1回のプレスリリースに費やす時間は2週間程度です。
『2週間かけて、何も起こらなかった』となれば、営業としてはゼロどころかマイナスです。
ちなみに、先方も忙しいので、いちいち『落選の連絡』はありませんよ。
なお、現在、プレスリリースは飽和状態と言われています。
『お得な営業だ』と噂が広まり、各企業が競って送り始めたからです。
『プレスリリースを代行するコンサル業者』というのも現れました。
つまり、採用される可能性はどんどん低くなっています。
のめり込むと、あっという間に数か月を無駄にすることもあるので、ご注意ください。
私も、開業当初は迷走していたので、不発のプレスリリースを送り続け、『あっという間に数か月を無駄にすること』がありましたよ…(笑)
掲載に向けて
さて、当事務所のクライアント様で、新聞に取り上げられた方がおられます。
酒類の輸出卸売業免許でお手伝いしたお客様です。
『福岡の銀行や企業数社と中国企業の合同出資で、アジアへ向けて食品ビジネスを展開する』という記事でした。
このように、よほどのニュースがない限り、現在、新聞に取り上げられることは難しいでしょう。
行政書士の『遺言教室開きます』くらいでは、箸にも棒にもかかりませんよ。
また、当事務所のクライアントでは、飲食業において、雑誌に取り上げられたお客様もおられます。
『飲食店の新規オープン』などは、雑誌やテレビでのニーズが多く、取り上げられやすいものです。
行政書士はいろいろなクライアント様と出会う仕事なので、自身の営業に使えるかは別として、このような営業について知識を持っていれば、クライアントの役に立つ機会もあると思いますよ。
ちなみに、当行政書士事務所はというと、上記のとおり、『ふくおか経済2018年2月号』にて掲載されました。
ただ、こう言うと、話がブレてしまいますが、掲載に至った経緯は、プレスリリース(自薦)ではありません。
記者の方が、『福岡 プレスリリース』と検索していた時に、ちょうどこのページがヒットしたことがきっかけです。
「行政書士なのにプレスリリース?」という興味を入口にして、私のビジネス論を読んでいただき、「この経営者に取材してみたい」と思っていただいたそうです。
そういう意味では、私がこのブログを通して解説してきた営業の話にブレはありません。
というのも、記者の方が興味を持ったきっかけは、「行政書士なのにプレスリリース?」というギャップです。
人が興味を持つのが『ギャップ』であることは、前述の口コミ営業のページで解説してきたとおりですよね!
私がどれだけ『建設業許可申請代行を誠実に行っているか』というような本質は、本当に大切な本質ではあるのですが、集客の起爆剤にはならないのです。
さあ、私は、『メディアで紹介された』という新しい『箔』を掲げて、2018年、さらなる飛躍を目指します!