行政書士の営業

まず初めに言っておきますが、行政書士は、営業をしなければ仕事が入ってきません。

前ページの行政書士では食べていけないで述べたとおりに、『開業直後は仕事がゼロ』というのが現実です。

ここでは、集客の糸口を見つけられない方のために、営業について解説したいと思います。

営業とは

まず、ここで言う『営業』とは、『飛び込み営業』のことではありません。

いわゆる、『営業手法』のことになります。

『集客』と呼んだ方が、イメージがしっくりくるかもしれませんね。

 

もし「飛び込み営業ができないから、私は開業に向いていないのでは…」と考える方がいらっしゃるのでしたら、その不安は消し去ってください!

ちなみに、私も、『飛び込み営業』という行為はしません。

プロフィールにも書いたとおり『営業職』とはかけ離れた職歴ですし、モテない人間の人脈のページでも後述するとおり私は『口下手』な人間です。

 

さて、ビジネスにおける営業手法をご紹介しますが、主な営業方法は、次のようなものしかありません。

 

ちなみに、飛び込み営業というのは、単にスタイルの話です。

仮に、飛び込み営業を上記に分類するなら、『チラシをまく』とか、場合によっては『口コミ』あたりに該当するものだと思います。

営業方法

さて、上記で営業方法を列挙しましたが、開業当初の方にとって、このような『手段を列挙する解説』は、うんざりする話かもしれません。

それを教えられても、なかなか売上げに直結しないからです。

軌道に乗っているライバルを見て、「いやいや、絶対にこれ以外の秘策を隠し持っているはず」と考えることもあるでしょう。

ただ、集客とは、本当に『これらの手段の活用』です。

それらを自分なりに、いかに使いこなすかということでしかありません。

 

ただ、その感覚が、軌道に乗せられない人にとっては理解しがたいことだというのは、開業の苦労を経験した私にはわかるので、ここで一つエピソードを使って説明したいと思います。

先日、ラジオを聴いていると、『馬プラセンタ』というものを用いた化粧品(化粧水?)のラジオショッピングがあっていました。

その社長は、通常の『豚プラセンタ』より上質な、『馬プラセンタ』というものを用いた化粧水を開発し、独立して販売を始めたそうです。

ただし、実際に起業してみたものの、全然売れない。

貯金も尽き、親からも白い目で見られ、妻のパートの稼ぎに頼る生活ももう限界…。

そんなどん底生活をひっくり返すため、最後のあがきで、その社長がやったことが何かというと。

アメリカに渡り、『ハリウッドの近くの路上でサンプルを配る』ということだそうです。

恥を捨て、袴姿になったりしてアピールしたところ、ハリウッドのメイク担当者の目に留まり、そこからはあれよあれよと商品が売れまくったというストーリーでした。

 

私は、これを、営業をよくとらえたストーリーだと思いました。

というのも、ハリウッド関係者の目に留まったというのは本当にたまたまですが、『アメリカで袴を履いて』というのは、上記の営業手法で言うところの『口コミ』に該当します。

つまり、この営業は、一見トリッキーに見えて、実は、『営業セオリーの実践』なのです。

とはいえ、営業が難しいのは、『じゃあ、別の人が袴を履いてアメリカで化粧品を配ったら必ず成功するか』といったら、そうではないのも営業なのです。

 

繰り返しになりますが、営業とは、トリッキーな方法を自分で編み出す訳ではありません。

上記に列挙した営業手法をひとつひとつ試すしかないのです。

その中で、あなたのキャラクターや運など、あなたに合うやり方というものを見つけなければなりません。

『自分のアクションと、相手のニーズを合致させる』という感覚的なスキルを、経験を通して身につけなければならないのです。

 

ちなみに、当事務所が仕事が好転した転機は『ある偶然』からですが、私も、やはりその経験の中で営業セオリーの本質的な意味を、感覚的につかんでいきました。

詳しくは、後述の車庫証明の仕事の取り方で解説しますが、営業力を磨くとは、堅実な努力と感覚的な経験の積み重ねなのです。

流れが来る

さて、上記で『運』ということを言いました。

そこで、以前、当事務所のお客様であるスーパーマーケットの社長から伺った話をしたいと思います。

 

当事務所がその会社の酒類販売免許の申請を代行した時、社長からこう言われました。

「山口君。昔は、お酒の免許は誰でも簡単には取れなかったんだよ。そんな時代に、1件目のスーパーを建てた時、うちは酒販売免許を勝ち取った。その偶然が、うちの転機になったもんだ」と。

当時、免許は特権でしたから、時代を考えれば、納得できる話です。

「山口君も、努力をしていれば必ずチャンスが来るから、それを見逃さず必死でつかみに行けよ」という激励も受けました。

その社長のおっしゃる通り、ビジネスには、『流れ』が訪れます。

 

その社長にとっては、その『流れ』とは『その時代にお酒の免許を取ったこと』だと思います。

私にとっては、前述の『ある偶然』がひとつですし、後述の『WEB集客』もひとつです。

他にも、前のページで述べた『放課後等デイサービスのバブル』なんかもありました。

こういう『流れ』というものは、先ほどの『ハリウッドの袴』のように、『その時、その人が享受する、瞬間的なもの』です。

別の人が同じようにやっても、同じように成功するものではなく、『その人のエピソード』なのです。

先にやった人を見て、「なんだ、ずるい」と思われるかもしれませんが、必ず、あなたにはあなたの時代の、別の流れが来ます。

その流れをつかむのは『運』という要素もありますが、営業の勉強というのが欠かせないものです。

 

さて、前述のとおり、開業当初の私は、仕事が全く取れませんでした。

そして、その状況を、『海の中の魚の大群』に重ね合わせていました。

お客様のニーズとは、『そこにたくさんあるとわかっているのに、手を伸ばしてもつかめない』というものだからです。

ここで、『お客様のニーズが魚』なら『営業とはそれを捕まえる手段』だと言えます。

「一本釣りでいくか?」、「大きな漁船をチャーターするか?」など、方法は様々です。

小さな営業は『リスクが小さいが、収穫も小さい』というもので、逆に、大きな営業は『収穫が大きいが、リスクも大きい』というものです。

あなたの事業に対し「こうやれば必ず売上げが上がるよ」とは誰も言ってあげられないのですが、集客に悩むのでしたら、営業の勉強・経験をコツコツと積重ねてください。

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