専任技術者の資格証

建設業許可では、専任技術者の要件を資格によって満たす場合、その資格証は、申請において『原本との照合』が必要となります。

原本の照合とは、提出する資格証のコピーについて『確かに本物をコピーしたものですよ』と示す作業です。

原本を窓口に持参

原本と相違ないことを示すやり方は、『原本を見せること』です。

建設業の許可申請では申請窓口に資格証の原本を持参しなければならないことがあり、その場合、行政書士が申請を代行するのであれば、お客様から原本をお借りしておかなければなりません。

 

原本を持参しない

ここで、すべてのケースで原本を持参しなければならないかというと、持参しなくてもよいケースというのもあります。

2級土木管理技士

まず、持参しなければならない資格というのは、上記の『施工管理』のような資格です(資格証が賞状タイプのものです。

他にも、『とび1級』等の職業能力開発促進法における資格も、おおむね賞状タイプであり、資格の持参が必要です。

建築士資格証

次に、持参しなくてもよいケースというのは、上記の『建築士』のような資格の場合です。

最近の『建築士』や『電気工事士』は、資格証がカードタイプになっており、工事において『携帯の義務』があります。

携帯義務のある資格は、技術者が現場で携帯しておかなければなりません。

つまり、会社の事務員や行政書士が、申請窓口に原本を持参することに、制度上、支障があるのです。

このため、携帯義務のある資格証の場合、申請窓口で原本照合を行いません(コピーを提出するだけとなります)。

※原本照合は、営業所調査において技術者本人と対峙して行うこととなります。

 

原本を提出する

さて、上記の他に、『原本を提出するケース』というのもあります。

それが『卒業証明書』です。

まず、指定学科を卒業している場合、専任技術者に必要な10年の実務経験が下記のとおり軽減されます。

  • 高校卒業…実務経験は5年でよい
  • 大学卒業…実務経験は3年でよい

そこで、指定学科の卒業歴を示すために、申請では、下記のような『卒業証明書』を添付するのですが、これは原本を提出することとなっています(提出した原本は返ってきません)。

卒業証明書

なお、卒業証明書とは、卒業証書のことではありません。

卒業した学校に問い合わせると、発行してもらえる証明書です。

監理技術者資格証

最後に、珍しいケースですが、一般建設業許可の専任技術者において、下記のような『監理技術者』の資格で要件を満たそうとするケースです。

監理技術者資格証

監理技術者とは、ざっくり言うと、『特定建設業許可の専任技術者』です。

特定建設業許可をお持ちの会社でお勤めだった方が、退職して次の職場で専任技術者に就く場合などにお目にかかるケースの資格証です。

特定建設業は、一般建設業より上位の許可なので、これを持っていれば、一般建設業の専任技術者相当と見なされてしかるべきです。

ただし、監理技術者資格証は、建設業許可申請における、いわゆる『資格証』の分類には該当しません(手引き等にも該当するコードがありません)。

 

画像が小さくて見にくいと思いますが、上図の赤丸箇所は『実務(通)』と書かれています。

つまり、この監理技術者資格は、電気通信工事の技術者要件としては10年の実務経験に基づいて満たしていることを示しています。

この実務経験の取扱いについては、平成26年6月4日の建設業法改正により変更がありました。

変更前は、監理技術者資格証を持っていても、建設業許可申請において専任技術者に就く際は、再度『10年の実務経験の疎明』を行う必要がありました。

ところが、この改正によって、監理技術者資格証を専任技術者の実務経験疎明資料に使用できることとなりました。

ちなみに、とはいえど、申請において『監理技術者資格証』という資格コードはありません。

具体的な手続きとしては、実務経験扱いになり(コードは『02』等となり)、実務経験証明書に代えて監理技術者資格証のコピーを添付することとなります。

建設業許可代行

 

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