建設業許可と所得証明

お客様からのご相談の電話で、聞き慣れない話を耳にしました。

-建設業許可を取ろうと思って行政書士に頼んだら、「過去の所得が200万円以下だから許可は取れない」と断られた。-とのこと。

私は、何年も行政書士をやっていますが、建設業許可において『所得』という判断基準を聞いたことがありません。

いったい何の話だろうと、考察した話をブログにします。

500万円の資金調達能力

『所得』、『200万円』と聞いて、とりあえず私に思い当たったのは、『財産的基礎又は金銭的信用』という要件でした。

建設業許可では、『500万円以上の資金調達能力』という要件があります(『残高証明書』等で疎明します)。

だだ、お客様がおっしゃるには、その要件は満たしているそうで、あくまで「過去の所得が200万円以下の件」と言い張るのです。

-1年前に別の行政書士に依頼して建設業許可を取ろうとしたが、最終的に、所得証明を取得して断念した。-とのこと。

お客様は過去に節税のために所得を低く調整してきたこと(←不適切な表現かもしれませんが)を悔いておられました。

事情はどうあれ、行政書士として私が気になるのは、「なるほど、500万円の資金の話ではないのか」ということと、「本当に建設業許可に過去の所得が関係するのか?」ということです。

というか、そもそも、建設業許可申請において『所得証明書』を手配するケースがあるのでしょうか。

所得証明

都道府県によって異なる

そこで、ネットで調べてみたところ、どうやら福岡県以外では所得証明書を添付するケースがあるようです。

ちなみに、福岡県土整備事務所の窓口で上記の件をたずねてみたところ、「所得は関係ない」「添付書類として所得証明書を受付けることもない」と回答をいただきました。

この時点で私としては一件落着、そして、結果として、本件のお客様も無事に建設業許可を取得なさいました。

所得証明書は常勤性の疎明

ここから先は、あくまで私の興味ですが、「では、他の都道府県では、何のために所得を審査するのか」が気になったので調べてみました。

どうやら、所得は、上記の『500万円以上の資金調達能力』の話ではなく、『実務経験における常勤性』を確認するために審査されるようです。

年間所得が200万円以下ということは、「本当に常勤として1年間フル勤務したのか?」という疑義が生じるみたいです。

ただ、他県の審査に口を出すのも何ですが、常勤を計る基準が『売上高』ではなく『所得』という点はいかがなものかと思います。

事業では、『フル勤務しても赤字』というケースは普通に起こり得るので、「他県の建設業許可は審査が厳しいな」と思った次第です。

 

ところで、建設業許可申請では、そもそも添付書類に『確定申告書』があります。

つまり、所得証明書なんか無くても、所得は確定申告書を見ればわかるところです。

何故、別途、所得証明書が必要なのでしょう。

この点は、はっきりした解明には至りませんでした。

ただ、もう少し調べてみると、『確定申告書とは別に所得証明書も必要な県(所得証明書によって常勤性を判断する)』と『確定申告書がない場合の代用として所得証明書が使う県』があるようです。

逆に言うと、福岡県の審査では確定申告書は原則必須なので、『確定申告書がない場合』に何かで代用できるというのは驚きではありました。

都道府県によって審査はまちまちなんですね。

まあ、所得証明の件は、あくまで私がネットで調べた情報です。

私は福岡県以外での申請実績がないので、真偽は不明ですが…。

建設業許可

 

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