許可業者からの証明

福岡の建設業許可申請においては、『確定申告書』や『契約書(または注文書や請求書)』によって経験を疎明するのが原則となっています。

ただし、建設業許可をお持ちの業者から証明を受ける場合、確定申告書等に代えて『(許可業者の)建設業許可証』によって疎明することができます。

許可業者が証明するケース

では、建設業許可業者から証明を受けるとは、どんな場合でしょう。

それは、『建設業許可をお持ちの会社に勤務していた』等のケースが該当します。

許可業者からの証明

例えば、上図において、許可を取得する会社(Bさんの会社)は、許可取得のためには、経営管理者や専任技術者を配置しなければなりません。

経管・専技をBさんとする場合、Bさんの経験を疎明しなければならず、Bさんの経験を証明するのが『Bさんが過去に所属していたA会社』となります。

ここで、A会社が建設業許可を持っていなければA会社の『確定申告書』等が必要になりますが、Aが建設業許可業者である場合、それらに代えて、Aの『建設業許可証のコピー』を疎明資料にすることができます。

建設業許可証のコピー

では、『建設業許可証のコピー』は、どのような点まで疎明できるのでしょうか。

まず、前述の通り、経験の疎明には『確定申告書』および『契約書(または注文書や請求書)』が必要となります。

そのうち、『建設業許可証のコピー』で代替えできるのは、『確定申告書』のみと考えておくのが無難でしょう。

つまり、別途、『契約書(または注文書や請求書)』は必要です。

 

よくある相談のケースで、「とび土工の許可を持っている業者から証明を受けるのだから、とび土工の経験があると証明できるはずでしょう」とお客様から問い詰められることがあります。

ところが、とび土工の許可を持っていることと、とび土工の実績があることはイコールではありません。

というのも、建設業許可とは、おおむね『500万円以上の工事』を請負うためのものであり、逆に言えば、500万円未満の工事に限れば、誰でもすべての業種の工事が行えます。

つまり、とび土工の許可しかもっていなくても、その他の工事として、塗装工事や内装仕上工事を行うという場合も有り得ます。

また、建設業の決算変更届を出したことがある方は経験があるかもしれませんが、例えば、『とび土工の許可を持っているけど、とび土工の工事実績がない』というケースもあり得ます。

 

繰り返して言いますが、『建設業許可証のコピー』は、経営管理者の経営経験を疎明するための『確定申告書』の代替えと考えておきましょう。

専任技術者の実務経験の疎明として、『契約書(または注文書や請求書)』の代替えにはなりませんので、ご注意ください。

行政書士としては、「許可業者から証明を受けられるから余裕で取得できますよ」なんてお客様に安受け合いしてしまうと、のちのち信頼を失いかねませんよ!

なお、経営管理者の経営経験を疎明するための『契約書(または注文書や請求書)』については、『建設業許可証のコピー』があることによって免除されるケースもございます。

免除

営業の沿革

ちなみに、上記において『建設業許可証』と呼んでいるのは、『許可通知書』という一番表紙となる書面のことを指しています。

この許可通知書には許可期間が記載されており、経験を疎明する場合、『建設業許可証のコピー』によって疎明できるのは、許可通知書に記載されている期間です。

建設業許可は5年毎に更新されるので、つまり、1許可によって疎明できる期間は最長5年です。

5年以上の期間を『建設業許可証』で疎明する場合、2期間分の許可証が必要になるでしょう。

ただし、許可申請書のうち、『営業の沿革』というページには『いつから許可を取得した』という事実が記載されているので、『営業の沿革のコピー』を添付して期間の疎明にすることも可能です。

 

各証明書のページ

上記の話は、単に、『建設業許可をお持ちの会社に勤めていた』というケースです。

それ以上に、あなたが、建設業許可をお持ちの会社で『経営管理者や専任技術者を務めていた』というケースもあるかもしれません。

この場合、あなたは一度『経営管理者や専任技術者の要件を満たす』と認められた人です。

逆に、『経営管理者や専任技術者の要件を満たさない』ということが有り得なくなります。

このケースでは、お勤めだった会社の『建設業許可証』および許可申請書の中の『証明書のページ(経管証明書のページ、専技証明書のページ)』のコピーによって経管や専技の要件を疎明できます(別途の契約書等は不要です)。

ただし、この場合でも、専技の『資格証』や『実務経験証明書』は改めて提示しなければなりません。

ここで一つ面倒なのが、実務経験証明書の提示です。

実務経験証明書も、過去の許可申請書の中にあれば、それをそのままコピーして使えます。

ただし、問題になるのは、『過去の申請書の記述が、現在の審査に耐えうる内容でない』という場合があることです。

例えば、現在は、10年の経験を証明するのに10件の記載が必要ですが、古い申請書では3件くらいしか書かれていないケースがあるのです(昔はそれで許可が取れていたらしいです)。

3件記載の実務経験証明書をそのままコピーして添付した場合、現在の審査でははねられてしまいますので、何らかの補足対応が必要となります。

許可証

他都道府県での許可

なお、上記の話は、添付する建設業許可証が『福岡県知事許可』であることが前提になります。

他の都道府県の許可証を疎明資料として使う場合、『契約書(または注文書や請求書)』での経験の疎明が原則となるので、ご注意ください。

これは、福岡県建築指導課のデータベースでは過去の許可状況が確認できないためです。

例えば、『東京では専任技術者を務めていた』という許可証・申請書を保管していたとしても、それはあくまで紙による記録でしかありません。

許可証はともかく、申請書(専技証明書のページ等)はそれぞれに受理印がある訳でもないので、改ざんの余地も往々にある用紙です。

このため、審査では、原則とおり、『契約書(または注文書や請求書)』によって行うことになるのが通常となっています。

建設業許可申請

 

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